裏拍手御礼用小話格納庫

□†月杯
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†杯月





「ぅんっ・・・ん・・・はっぁ・・・。」

かぁっと喉を焼く液体をどうにかこうにか飲み下して、私は少し荒い息を吐く。

数え切れないほど何度も何度も、繰り返し口移しでお酒を飲まされて、私はおでこにネクタイを結びたくなるくらい、見事に酔っ払ってしまっていた。

真っ直ぐに座ろうと努力はしてみるものの、首にはまったく力が入らず、頭がグラグラと揺れて定まらない。

仕方なくあきらめて、すぐ傍らにある温もりにグッタリと凭れ掛かかり、顔をそのしなやかな胸に伏せた途端、上の方から艶を含んだいたずらっぽい声が響いてきた。

「クスクス。もう酔ってしまったのかい?・・・ほら、もっと飲みなよ。」

私を甘やかすような声音と、火照った頬を撫で上げる優しい手の平。

それに誘われるように顔を上向けると、頬に添えられた手に軽く力が込められ、薄っすらと開いた私の唇に熱い唇が押し付けられる。

「ん、ぅ・・・。」

再び口移しで与えられる甘い甘いお酒。

私は言われるがままに喉の奥に流し込もうとしたけれど、同時に侵入してきた舌に口内を激しく掻き回され、唇の端からダラダラと溢れさせてしまう。

顎から首筋を伝って胸元へと滴り落ちるお酒に、ヒノエさんは舌を伸ばして私の胸をゆっくりと舐め上げながら、紅い瞳を煌かせて私をじっと見つめてくる。

「ふっ・・・ぁ・・・ヒノエ、さん・・・。」

私がビクビク奮えながら背中を仰け反らせていると、ヒノエさんの唇は雫の痕を辿って私の唇へと戻り、そこを舌でなぞるように愛撫しながら喉の奥で低く笑った。

「俺の巫女姫様は、本当に可愛いね。もっと酔わせてあげるよ・・・俺に。」

そう、言うが早いか。

ヒノエさんは抱きしめていた私の体を布団に押し倒し、両足を思い切り左右に開かせて、私のいやらしいな穴へと口に含んだお酒を注ぎ込んできた。

「ぁっ・・・ゃ・・・あ、熱い・・・んっぁ・・・。」

最奥へと流れ込んでくるお酒に、一気に火が点いたように燃え上がる敏感な内部。

ヒノエさんは私のヒクつく襞を楽しむように、尖らせた舌で中を掻き回し始める。

ぴちゅ・・・じゅく・・・ちゅぷ・・・じゅるる・・・

「ぁーっ・・・ぁっぁっ・・・ゃ、ぁ・・・あ、熱・・・んふっ・・・!」

焼け付くようなピリピリとした刺激と、ヒノエさんの舌が気持ち良い所を擦り上げてくる快感に、私は軽い絶頂を迎えて足の爪先をきゅっと丸めて仰け反った。

「ぁっは・・・ぁっぁっ・・・はぅ・・・。」

愛液とお酒の混じった液体をピュッピュッと噴出しながら、私は太腿を痙攣させて中に入ったままのヒノエさんの舌を締め付ける。

舌をもっと奥まで飲み込もうと蠕動する私の内壁に、ヒノエさんは私の中から溢れだした液体を丁寧に吸い上げると、見せ付けるように濡れて糸を引く唇をペロリと舐め上げ、うっとりとした笑顔を向けてきた。

「こんなに美味い神酒を飲んだのは、初めてだよ。これはお前に秘められた力なのかい?」

「ぁ、ぅ・・・わ、私に力なんて・・・。」

そう尋ねてくるヒノエさんの瞳は、思いのほか真摯なものだったけれど、私はいつもと同じようにからかっているのだと思い、眉を下げた情けない表情で身を捩る。

本気で抵抗したかった訳じゃない。

ただ、からかわれているのが悔しくて、少し拗ねてみたくなっただけなのに。

その弱弱しい抵抗に返されたのは・・・ヒノエさんの低い囁きと、切ない眼差し。

「無いとでも?・・・俺を、こんなにしておいて?」

ヒノエさんは私の太腿の中心に口付けて囁くと、スルリと体の位置を入れ替えて、すでに硬く立ち上がっているものをソコに押し付けてきた。

ぬちっ・・・ぬちっ・・・

「ひゃぁっ・・・ぁっん・・・はっぅ・・・。」

熱く蕩けてだらしなく愛液を溢れさせている場所に、ヌルヌルと擦りつけられるヒノエさんの逞しいもの。

それを欲しがって、涎を垂らして淫らに開閉する私のいやらしい穴に、ヒノエさんは焦らすかのように先端だけを埋め込み、ぬちゅぬちゅと浅く抜き差しを繰り返す。

「今夜の、この月が沈んでしまうまでは・・・お前は俺だけの巫女姫だ。・・・ねぇ、そうだろう?」

ゆったりと腰を使いながら、ヒノエさんはその綺麗な目を細めて、一瞬だけ空の月を見上げた後。

ふっと軽く息を吐きながら、入り口付近を掻き回していた腰を、一気に最奥まで沈めてきた。

ぐぷ・・・ずぷぷぷぷっ!!

「ふぁっぁぁぁんっ!!」

子宮の入り口を押し上げるかのように、ヒノエさんの大きなモノが私の中を埋め尽くす。

求めていた刺激以上の快感を与えられて、私は二度目の絶頂に達しながら、足を突っ張らせて大量の愛液を迸らせた。

「入れただけなのにイっちゃったのかい?・・・お前は、本当に全てを真っ直ぐに受け止めるんだね。」

「ぁっぁーっぁっぁっ・・・ひぁぁ・・・。」

ヒノエさんはビクビクと全身を痙攣させている私を抱きしめると、耳たぶに甘く噛みつきながら熱い囁きを落としてくる。

「少しはかわす方法を身につけなよ?でないと、お前がもたないぜ。・・・色んな意味で、ね。」

言われた言葉の意味を理解する前に、ヒノエさんの腰がいやらしく動き始めた。

ぱちゅん、ぱちゅん・・・ぐじゅ、ぐじゅ・・・じゅぷ・・・

「んっふっ・・・ぁっぁーぁっ・・・んんっ・・・ひぁ・・・?」

ゆるゆると突き上げてくる、ヒノエさんの気持ち良いモノををきつく締め付けて、淫らな水音に合わせて喘ぎつつも、私は問うような視線をヒノエさんに向けた。

「白龍の神子がこの世界に召喚されなかった事。全て、自分のせいだって思ってるんだろう?」

ずっと胸に秘めていた想いに、図星を刺されて、私は思わずヒクンッと体を跳ねさせる。

「馬鹿な姫君だね。・・・何一つ、お前のせいなんかじゃないのにさ。自分を責めて、泣いて・・・。」

だって、私が本物と同じ星を持って生まれたせいで。

だって、私が間違えてこの世界に来たせいで。

ニセモノの巫女しか現れなかったこの世界は、どうなってしまうんだろう?

私の力が足りないせいで・・・皆が悲しい目に合ったら、どうすればいい?

「・・・お前のせいじゃない。お前のせいじゃないから。」

ぎゅっと唇を噛み締めて自問自答を繰り返す私に、ヒノエさんは苦しそうな声でその一言を何度も何度も繰り返す。

「お前のせいなんかじゃ、ないよ。だから、もう自分を責めないで・・・?」

もしかしたら。

私はその言葉が一番聞きたかったのかもしれない。

私の弱い心を包み込むヒノエさんの優しい言葉と、私の感じる所を熱心に擦り上げてくるヒノエさんの太くて硬いモノ。

ヒノエさんの全てに酔わされながら、私は涙を散らせてその胸にしがみ付いた。

「お前の背負っている物、俺も一緒に背負ってやるからさ。もう一人で泣いたりなんて、しないでくれよ?」

熱く乱れた呼吸の中。

ヒノエさんは鮮やかな笑顔を浮かべると、私の太腿を掴んで胸元につく程に押し上げて、腰を波打たせるように激しく揺さぶり始めた。

ぐぷぷっ・・・じゅちゅ・・・ぐちゅ・・・じゅぽ・・・ぐりゅ、ぐりゅ・・・

「ひっゃ・・・ぁっ・・・ぁっぁっぁっ・・・そ、そこ・・・だ、め・・・んぁぁっ!!」

私の気持ち良い所を傘の張った部分で小刻みに擦り上げては、円を描くようにぐるぐると腰を回して内壁全体を抉り、先端で子宮の入り口を抉じ開けるように根元まで突き入れてくる。

限界まで広げられた私の両足の間で、ヒノエさんのものがヌラヌラとした光りを放ちながら、糸をひいて私の中を出たり入ったりしているのが視界に入って、私も無意識にゆらゆらと腰を揺らしてしまう。

にちゅ、にちゅ・・・ずりゅっ・・・ぱちゅっ、ぱちゅっ・・・

「ふっぅ・・・はぁっ・・・も、いっちゃ・・・んっんっ・・・!!」

長い時間に渡って休む事なく中を擦り続けられ、私が喘ぎの止まらない口から涎を垂らして、太腿をブルブルと痙攣させ始めると。

「あぁ・・・。一緒にイこうか、俺の姫君?」

ヒノエさんは私の腰を持ち上げるようにして、一番深い所を大きなモノで突き上げてきた。

ぐりゅっ

「ひっゃぁぁぁんっ!!」

私の子宮の奥に叩きつけられる飛沫と、私の中からビュクビュクと噴出す愛液。

背中を仰け反らせたまま、ヒクヒクと痙攣している私を抱きしめて、ヒノエさんは出しながら腰を動かし続け、最後の一適まで搾り出すように私の中へと注ぎ込んだ。





「月が好きなのかい?」

まだ整わない呼吸に胸を上下させながら、ぼんやりと明るい月を見上げていると、ヒノエさんが私を抱き寄せて尋ねてきた。

「・・・は、い。月は・・・明るくて綺麗だから・・・。」

闇に包まれた世界を静かに照らす、優しくて強い光。

私には無いものを持つ月に、思わず羨望の眼差しを向ける。

「クスクス。それじゃ、あの月を取ってあげるよ。・・・ほら。」

ヒノエさんは楽しそうに笑うと、杯にお酒を注いで私の目の前に差し出してきた。

そこには、杯の中に映し出された・・・儚く揺れる月。

空に浮かぶ月とは比べ物にならない程、小さな存在。

ふいに風が吹いて、杯の中のお酒が波打った瞬間、水面の月があっけなくその形を崩したのを見て、私はポツリと呟いた。

「でも・・・この月は、ニセモノです・・・。本物には・・・何一つ敵わない・・・。私と・・・同じ、です・・・。」

一人では存在できない、何の役にも立たない。

形だけ取り繕っても、何もかもが違いすぎる。

そんな思いに、ついつい溜息を零していると、ヒノエさんは私の顎を摘んでそっと顔を寄せてきた。

「ニセモノ、ね。お前がどう思っていようと、俺はこの手の中で奮えている月が愛しくて堪らないんだ。必ず守り抜いてみせるさ。」

どこまでも真摯な瞳で、ヒノエさんはそう告げるなり、杯を静かに傾けて揺れる月に口付けた。





風に吹かれれば消えてしまうニセモノの月でも。

世界を照らす事は出来ないけれど、あなたの手の中に光を灯す事が出来るなら。

私なりに輝いていたいと、そう願う。

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