old clap

□幻のような恋
1ページ/1ページ

出来るだけ離れないでいたいと願うのは
出会う前の君に僕は
絶対出会えないから

今もいつか過去になって
取り戻せなくなるから

それが未来の今のうちに
ちゃんと取り戻しておきたいから





この歌をはじめて聴いたのは、彼女と一緒に来ていた喫茶店だった。

「あっ‥この歌」

店内で流れたメロディーに、彼女はすぐに反応して


「私、この歌大好きなんです」


と、すごく嬉しそうに俺に教えてくれた。


その彼女が好きだという音楽に、自分も耳を傾けてみると

その歌は、すごく愛情深い歌詞からできているのに
聴けば聴くほど、胸が締め付けられるように切なくなって

俺ははじめて聴いたその歌を、最後まで聴き入ってしまった。


歌が終わり、現実に返って彼女を見ると
彼女は静かに涙を流していて
驚いた俺に気付いた彼女は、慌てて涙を拭うと


「‥すみません。この歌を聞くとなんか、いつも泣けてきて」


そう言って、少し恥ずかしそうに笑った。




もしかしたら彼女は、俺が都合よく見ている幻なのかもしれない

そして
当たり前のように彼女と過ごしている今も、本当は
幻のように、かけがえのない時間で


この幸せな時間が、これからも続くように
大切に 大切に
守っていきたいと思った


笑い合った過去がずっと
未来まで守ってくれるなら。



fin*





BUMP OF CHICKENの「宇宙飛行士への手紙」より、歌詞をお借りして書かせてもらいました。


 
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ