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□「くすります??」
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「ジングルベル〜ジングルベル〜、すずがなる〜」
「じんごろべ〜る、じんごろべ〜る、すすがにゃる〜」

大きなツリーをゼフェルとランディが飾り付けをしていた。
その様子をオスカーが見守っている。

「きょうはたのしいクリスマス〜!」
「きょうはたのしぃ〜くすります〜にゃ〜う」


アリオスも二人を手伝って、仲良く飾り付けをしていたのだが、ある事にランディが気が付いた。

「ねぇ、ゼフェル」
「あ、ありおすこれ、あっちにつけてね。う、なに?」
「あのさ、ジングルベル、だよ」
「じんごろべる?」

ランディの言う後に続けて言うのだが何かが違う。

「ジングルベル!」
「じんごろべる!」
「…もういいや」
「にゃ?」

そしてまた、飾り付けをしていく。
丸いオーナメントにサンタさんの人形。
赤い大きな靴下にふわふわのリース。

「くすりますつり〜にゃの〜」
「……ねぇ、ゼフェル」
「おすかー、これうえにつけてぇ、なに?」
「クリスマスツリー」
「…くすりますつりー?」
「……」
「……」

はぁ、とランディがため息をつく。
その様子にゼフェルはムッとする。
そして、無言でそばにあった丸いオーナメントをランディにぶつけてしまった。
ぽこっと音を立てて、ランディの頭にぶつかり、遠くに跳ねた。
ランディはゼフェルの方ゆっくり振り返る。
ゼフェルはふんっと顔を背ける。

そしてまた、二人で飾り付け。
今度は静かに。

ぼこんっ!

「ったぁ」

ランディが声を出す。
また、ゼフェルがランディにぶつけたらしい。
ランディはすくっと立ち上がって、ゼフェルに近づいて行く。

「ゼフェル…」
「にゃあ〜に」

ちゅっ。

「……にゃっっっっっ!」

シーンとその場が静かになる。
上の方の飾り付けをしていたオスカーも、アリオスも固まってしまった。

「にゃー!らんでぃにくちびるうばわれーたぁ!やぁー!おすかぁ!」

涙目になったゼフェルの髪をそっと撫でるオスカー。

「そんなにイヤがらなくてもいいのに」
「ぜふぇるのくちびるはおすかーだけのものなの!」

ぎゅっと、オスカーの足にしがみつくゼフェル。

「うーん…じゃあ、はやいけどオレがゼフェルからもらったクリスマスプレゼントね。ならいいですよね、オスカーさま」
「…そ…そうだな…」
「おすかーがいいならー…………いいけどー。でも、きょうだけだからね!」
「うん!」
「じゃあ、はやくクリスマスツリーかざりつけ、しようね」
「やる!くすりますつりー」
「だからクリスマスツリーね」
「だから、くすりますつりーでしょ?」

さっきまで喧嘩をしていた二人は仲良くツリーを飾り付けを始めた。


「なんだか…ランディがあっさり丸め込んだな…」
『…こいつらの将来が心配になってきた』

大人の心配はまだ二人には関係なかったのだった。



FIN
…………………
おこちゃまずは飾りつけです。




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