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□0604
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ここちよい朝の光の中で、ゼフェルは目を覚ました。
自分を抱きしめて眠っているオスカーの腕の中でしばらくまどろんでいたが、喉が渇いていることに気がつき、オスカーを起こさないように気をつけながら、ゆっくりと起き上がった。

「…水のも」

朝。ゼフェルは何時ものように、恋人オスカーの私邸に遊びに来ていた。
昨日からの二連休で朝から来て、昼ご飯を二人で食べて遊びに行って後はそれなりな夜を過ごしたわけだ。
おかげで今の格好はいつの間にかにオスカーか着せてくれたパジャマの上だけ。
どうやら、下はオスカーが着ているようだ。

「……なんつぅ格好だよ…おい」

しかも、オスカーとの体格差があるためか、それはゼフェルには大きすぎた。

「くそー、俺も鍛えるかなぁ…」

ためしに袖口を鼻に持っていくと、かすかにオスカー愛用のコロンの香りがした。
なんとなく安心するその香り。
しばらくそうしていたのだが、はっと我に返る。

「だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!ハズい…!ハズかしすぎるっ!」

思わず叫んでしまい、ばっとベッドを振り向く。
どうやらオスカーは起きなかったようだ。
どうして、朝からこんなに疲れなければいけないのか。
今度こそ水を飲もうと思い姿見の前を通りかかったとき、またゼフェルは真っ赤に染まる。
パシャマのあわせの部分から見える胸や歩くたびにちらちらと見える足の付け根の赤い痕。

「っぅぅぅぅっ!!」

ゼフェルは真っ赤になりながらすやすやと気持ちよさそうに眠る男を睨み付けた。
今度こそ、ブン殴ってやろうかと思ったが、思いとどまる。

水だ。なによりも水が先だ。水を飲んでからブン殴ろう。

それにしても。
まさか、自分がやるはめになるとは思わなかったこの格好。
やるならズボンのほうがいい。
しかし、そこで、はたと気づく。
もしオスカーがこの格好をして、ベッドの上に横たわっていたら……。
想像してゼフェルはぶんぶんと勢いよく首を降る。
オスカーのあの体格で今の自分の格好はつらいので却下。

「大体こういうのは普通はやらねぇっうんだよ」

ぶちぶちと文句を言いながら、備え付けの冷蔵庫からミネラルウォーターのペットボトルを取り出しごくごくと飲んだ。

「っはー…。うめぇ」

今日が休みだからと昨日の夜はいつもより激しかった。散々あえがされ、喉は枯れ放題。
そのカラカラの喉に潤いが染み渡っていくのがわかる。その冷たさにほっと一息ついたゼフェルは、後ろからのびてくる手に気が付かなかった。

「ゼフェル」

抱きしめられ名前を呼ばれる。

「おわっ!」

驚いた拍子にペットボトルを落としそうになってあわてて支えるゼフェル。

「…オスカー!こぼしたらどうすんだよっ!馬鹿!ってか、起きてやがったな…!」

怒るゼフェルもなんのその、オスカーはにっこりと笑う。

「誕生日おめでとう」

突然、特別甘い声でオスカーがささやく。
しかし、ゼフェルといえば。

「俺…今日、誕生日だっけ?」

その言葉にオスカーはがっくりと肩を落として、ゼフェルにもたれ
かかった。

「お前なぁ…今日は6月4日。自分の誕生日を忘れてたのか?」
「えっと…別に、どーでもいいし」
「いや、よくないぞ。お前という存在がこの世に生まれてくれた、大切な日なんだ。本当は今日になった瞬間に伝えたかったんだが、昨夜は激しかったし、お前疲れて眠ってしまったからな」

抱きしめられている上に、耳元で力説されゼフェルはたまったもんじゃない。

「この色ぼけオスカー!耳元でしゃべるなっ。…それに疲れて寝ちまったのは誰のせいだよ!」
「俺のせい…だな」
「わかってんなら、手加減っていう言葉をいい加減体に叩き込め!体力馬鹿、付き合わされる俺の身にもなれよ」

ぎゃーぎゃーと文句を言っているゼフェルを無視して、ひょいっと抱え上げ、ベッドへと戻った。
ゼフェルが手に持っていたペット
ボトルは冷蔵庫の上において。

「おいこらっ!」
「まぁまぁ。誕生日なんだから、俺に思いっきり甘えられろ」

起きたところからまた、ベッドに押し倒される。

「はぁ!何言ってんだばかっ!大体、普通は俺が、お前に、甘えるモンだろうが…っ!!…あ」

思わず、出た言葉。
あわてて口を手でふさぐが時はすでに遅く。
おそるおそる、オスカーを見るととても楽しそうな表情をしてゼフェルを見つめていた。

「…えっと…今のなしっ」
「そうだな」

あっさりと言われてゼフェルはほっとするが、これだけであっさりと引き下がる男ではなかった。

「俺じゃなくて、お前が甘えてこないと…な」
「だから、どうしてそんな事になんだよっ!ちょっ…どこさわってんだっ」

するするとシャツの裾からゼフェルの太ももをなでる手を感じて、ゼフェルはいっそう慌てる。

「お前が甘えやすいようにしてやろうと思って」
「いい!しなくていいから…っ…あ…」

ゼフェルの必死の抗議もオスカーの口付けとともに消えていく。


「…お前が生まれて来てくれて心から感謝するよ…俺の愛しいゼフェル」



FIN

…………
おお!祝えてないい!!



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