もう一人のドリームナージャ 1 (序章編)

□第5章 双子
2ページ/2ページ

「そうか。まあ無理もないな。お前とナージャと別れた後、俺は、おやじがつくった借金をある男に返済したんだ。おやじの奴うまい儲け話のっかってあんな額の借金を作ったらしい。そこでこのままじゃおまえがおやじの失敗を肩代わりするはめになる。おまえはなに一つの悪くないのに・・・。だから、しばらくの間お前になって、その事業を立てなおしたんだ。結構うまくいって、ものの3か月くらいで借金を全額返済できたんだ。俺には、企業家としての才能があったみたいだ。」
少し自分の自慢話を弟に聞かせていたときもおやじという言葉を発する際には、軽蔑の意味を少し交じりながら話していた。フランシスは、兄のこんな大胆な行動力にいつも感心していた。キースは、こうと決めたら絶対やり抜くそういう性格であることをフランシスは知っていた。だから、怪盗黒バラとして長い間活躍し、人々を助けてきたんだと・・そして、今回は、知らないうちに自分を助けてくれたのだと思うと感謝の思いがあふれ出した。
「ありがとう兄さん。」
フランシスは、キースに感謝の言葉を言った。するとキースがいたずらを考えるような子どもの顔をしてフランシスを見て言った。
「フランシス感謝するのはまだ早いぞ。事業は成功したが、多くの敵も作ったことも事実だ。おまえの話しからして俺は随分恐れられていたらしいな。ということは、そいつらがお前を見ていつ反撃に出るか・・・。まっその時は、その時で考えるとするか。じゃあ本題に入ろう。」
とキースはフランシスの方を真剣な顔を向けて話し出した。
「借金を返済してからの残りの3か月は、新聞記者として働いた。その中で、社交界の黒い噂を耳にしたんだ。最近、社交界で人が急に変わってしまうやつが増えてきているという噂を・・・。」
フランシスのこの話を最近よく聞いていた。実際に最近ノブレスオブリッチに協力的だったある貴族が急に人が変わったみたいに協力をしなくなったどころかノブレスオブリッチの考え方を根本的に否定された。さすがのフランシスもその時は信じられなかった。
「ああ。僕も実際にそういう人物に何人かあっている。なんだかおかしいとはうすうす思っていたんだけれど・・・。」
「どんなふうに変わった感じだったんだ?」
キースがフランシスに問い詰める。その姿は、本当に新聞記者そのものだった。兄は、新聞記者に向いている気がした。
「そうだな。なんていったらいいんだろう何かに取りつかれているような感じかな・・・。」
「何かに取りつかれている!?」
キースが少し驚いた様子で言った。
「うん。まあとりあえず変だったことは確かだよ。」
フランシスが言うとキースは腕を組んで考えだした。フランシスは、少しキースが心配になった。また、危険なマネをするのではないかと・・・キースは、無茶をしすぎだ。子どものときから。
「フランシス今日は、確か舞踏会だったな。」
「そうだけど。」
フランシスがそういうとキースがすこしニヤリとした顔で言った。
「今日だけ入れ替わってくれないか?」
フランシスはその言葉を聞いて目を見開いた。兄さんは何を考えているんだと・・・。
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ