もう一人のドリームナージャ6(プレミンジャー公爵家の秘密編)

□第7章 白バラと公爵
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広い部屋に一人で佇んでいるデイルは、今回の計画について考えていた。彼の今回の計画の目的は、プレミンジャー公爵家から5つのクリスタルを奪うこと。そして、プレミンジャー公爵をその地位から引きずりおろすことだった。そうすれば、ヘルマンをプレミンジャー公爵家の当主にすることができる。さらに、マコレットやナージャの立場が危うくなる。そして、運が良ければ、ナージャを始末し、マコレットの力を思い通りにすることができる。それは、彼の本来の願いであるアメリアを甦らせることにつながると考えていた。
「5つのクリスタルの力は本来契約者が持たないと意味がない。一人でクリスタルを5つも持つこと自体おかいしい。全てのクリスタルは、契約者とともにあり、その契約者同士が争い奪い合いことで、最終的に一人の契約者が自分の願いをなんのリスクもなく、叶えることができる。そのためには、5つのクリスタルは契約者に渡す必要がある。」
デイルは一人でぶつぶつ言いながら部屋を行ったり来たりしていた。そして、天井を見た。
「今、クリスタルのすべての力を吸収できる可能性があるのは、マコレットただ一人だ。すでに、3つのクリスタルが彼女のナイト・ジュエルと一体化している。それだけ彼女のクリスタルが力を付けている。」
デイルはそういうと、自分のシャドウ・ジュエルを見た。
「僕のクリスタルでは、どんなに力を集めてもマコレットのクリスタルには勝てないだろう。それに、今まで貴族の心を集めて来たけど、それよりも近道な方法に最近気づいてしまったから・・。」
そういうと、デイルはニヤリと笑った。
「そう、マコレットに残りのクリスタルの契約者たちと戦わせて、クリスタルの力をナイト・ジュエルに取り込んでもらう。そして、ある程度の力が集まってから彼女からナイト・ジュエルを奪う・・・これで、僕はこの過酷なゲームから一歩引いて見ていることができる。」
デイルは我ながらいい考えだと思っていた。自分の手は下さずに契約者たちが戦い、ある程度の力を得た者から最終的に今まで集めた力をもらうことができる。それが、マコレットなら好都合だった。
(マコレットからナイト・ジュエルを奪うのは、簡単だ。彼女は、自分の大切な人の命と引き換えになんでも渡す可能性が高い。そう、ナージャやその仲間の誰かを人質にすれば彼女は、間違いなくナイト・ジュエルを渡す。そうすれば、僕の願いが叶う。そして、その時にナージャとマコレットの二人を始末すれば、きっと双子も手に入る。)
デイルは思わず笑みをこぼした。そして、シャドウ・ジュエルを見て呪文を唱えた。すると、いつものように彼の忠実なしもべであるシャドウドールが出て来た。
「デイル様なんの御用ですか?」
シャドウドールがお辞儀をしながら言った。
「プレミンジャー公爵を見張っていろ。あと、ヘルマンが予定の場所にまだ来ていないから彼のことも探してくれないか。」
デイルがそういうと、シャドウドールがまた一礼して影となって姿を消した。
「それにしても、ヘルマンの奴はどこに行ったんだ。身を隠すために用意した場所に未だに姿を見せないなんて。まあ、どっかで暇つぶしでもしているにちがいないが・・・。」
デイルはそうつぶやくと、窓の外を見た。
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