もう一人のドリームナージャ6(プレミンジャー公爵家の秘密編)

□第4章 人違い
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ナージャは、広いワルトミュラー伯爵家の庭をコレットと一緒に歩いていた。二人は手をつなぎナージャが、旅での出来事について話している。コレットは、うれしそうに笑顔で聞いている。
「お母さん、実は私、自分のそっくりな女の子に出会って、一緒に旅をしているの。」
「あのピアニストの女の子のことかしら?」
ナージャは、笑顔で答える。
「そうよ。あの子の名前はマコレットって言って、とってもピアノが上手で、みんなから天才だっていわれているのよ。」
コレットは、ナージャの話を聞きながらマコレットという少女のことを思い出した。あのピアノの弾き方、音楽への情熱、思いどれをとってもあの少女のピアノは、自分の亡き夫のレイモンに似ていた。そして、あの子守唄・・・ナージャがレイモンのために作った曲。彼女もまた、誰かのために弾いているようなそんな感じがコレットにはしていた。
「マコレットは、素敵なピアニストね。あなたのお父さんの同じものを感じたわ。」
「お父さんと?」
コレットは、ナージャの顔を見ながら微笑んだ。
「ええ。あの子は、きっと素晴らしいピアニストになるわ。」
「私も、マコならそうなれるって信じているわ。」
ナージャの母親の考えに同意した。
「ナージャ、良かったらマコレットに会わせてくれかしら?」
コレットはナージャに懇願した。
「もちろんよ。私もお母さん紹介したいと思っていたから・・。」
ナージャは、母親の方を向いて微笑んだ。そして、ナージャは背を向けた。
「あのね・・・お母さん。こんなこと不思議だって思うんだけど、私マコに会ったとき、初めて会った気がしなかったの。なんていうのかなどこかで会ったような気がしてしかたないのよ。」
ナージャが突然つぶやくとコレットも驚いた顔をした。
「ナージャ、私も実はそう思ったのよ。」
「え?」
今度は、ナージャが驚く。コレットとナージャそれぞれが同じようなことを思っていたなんてなんだか不思議な気がした。
「でも、どこで会ったのかまでは分からないのよ。」
コレットはそういうと、ナージャがコレットの方を向いて言った。
「親子で同じことを思うだなんてなんだか不思議!」
「そうね。」
そういうと、ナージャとコレットは笑ってしまった。



そのころマコは、昼食を終えて、レストランからダレンとオスカーと一緒に出て来た。
「ダレンごちそうさま。とてもおいしかったわ。」
マコがにっこり笑顔で言った。
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