もう一人のドリームナージャ6(プレミンジャー公爵家の秘密編)

□第3章 契約
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一人の男が、牢獄の中でずっとうつむいていた。ここに入ってから半年近くたつが今だにあの小娘に負けてしまったことが悔しくてならない。もっと早くに始末していれば、自分はこんなみじめな思いもせずに今も豪華な暮らしができていたんだろうと思っていた。そう思うたびに拳を振上げて壁をたたかずにはいられなかった。
「くそ、この俺がなんでこんなところに入っていなければならないんだ。」
男が叫んだ。その声はこだまするだけだった。男は、何回自分の中であの小娘を殺したことか。また、あの小娘のための自分の屋敷に入ったあの青年も憎くて仕方なかった。
「あいつらさえいなければ、今頃俺がプレミンジャー公爵家を継いでいたはずだ!絶対許さないから今に見てろ!!」
憎しみがこもった声で男は言った。
そんな時だ、いつもなら誰も面会にこないはずなのに誰かが階段を降りてくる足音が聞こえてくる。男は、おもわず鉄格子を握り、その人物が誰なのかを見た。ひょっとしたらと思ったが、男の予想していた相手ではなかった。階段を下りて来たのは、7,8歳くらいの少年だった。男は、少年を睨んだ。男の顔はもともと人相が悪かったのでさらに悪い顔に見えた。
「へー。牢獄ってこんな感じなんだ。暗くて寒いそれに寂しいね。まあそのくらいのことをやったんだから当然か。」
少年は男の顔を見ながら言った。
「ガキが調子こんで・・・。」
男が少年にバカにされたような気がしてそういった。少年が男を見ながら言った。
「ヘルマン・プレミンジャーいや今はただのヘルマンか・・・罪状は、プレミンジャー公爵家の財産を奪い取ろうとした罪、またその跡取りナージャ・プレミンジャーを殺そうとした殺人未遂の罪か・・・他に叩けばいろいろほこりが出るだろうにね。」
少し笑った顔で少年がヘルマンを見た。ヘルマンが、少年をまた睨んだ。
「ヘルマンさん大変失礼いたしました。僕は、デイル・ログフォートと言います。あなたの味方ですよ。」
デイルがヘルマンに自己紹介した。すると、ヘルマンは、鼻で笑った。
「冗談だろ。ガキがからかいにきただけだろ?第一何が味方だ・・・何もできないくせに。」
ヘルマンがいうと、デイルは灰色のクリスタルを取り出し、その場で呪文を唱えるとそこにシャドウドールが現れた。ヘルマンは驚きのあまり目を見開いた。すると、デイルが今度は笑いながら言った。
「これでも、何もできないと言いますかね?ヘルマンさん。」
「おまえ何者だ?」
ヘルマンがようやく自分を相手にしたので、デイルは本題に入った。
「僕は、魔法使いですよ。そう影を操る魔法使い。実は、おりいってあなたにお話があってここに参上しました。」
「話だと?」
ヘルマンが聞くと、デイルは話始めた。
「ええ。ヘルマンさんは、どうしてプレミンジャー公爵家がウィーンで名門中の名門にまでなれたかご存知ですか?」
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