もう一人のドリームナージャ4(フェアリージュエル編)

□第3章 勝負
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フランシスはホテルのロビーである人物を待っていた。1時間くらい経った時に一人の人物がホテルのロビーに現れた。その人物は、注意深く周囲を見て顔を隠している。そして、その人物はフランシスを見つけるとフランシスに外に出るように目で促した。するとフランシスとその人物は急いで外に出て、人影がほとんどない道まで歩いた。






ようやく、人気がない通りに来ると顔を隠していた人物は、顔を隠すのをやめてフランシスを見た。
「やあキース!」
フランシスがキースに挨拶をする。しかし、キースは挨拶をしない。それどころかどこか不機嫌だ。
「やあじゃない。フランシスおまえさっきナージャと会っていたようだが・・・まさか今夜なにかに誘ったりしたんじゃないだろうな?」
キースがフランシスを問い詰める。すると、フランシスが驚いた顔をして言った。
「えーと、まさか兄さんも今夜・・・ナージャと約束を・・・・。」
「ああそうだとも。たく、よりによってタイミングが一緒なんてな。」
キースは悪態をついた。フランシスは、どう反応してよいやら複雑な気持ちだった。
二人が今夜ナージャと同じ時間に食事の約束をしたのは偶然だった。それにフランシスとキースの二人が、落ち合う約束をした本当の目的は、これからのことについて話し合うためだった。特にキースは、ウォール家で起きたことについてフランシスと一回話し合った方がいいと思っていた。なのにキースもフランシスもこともあろうにナージャと再会し、同じ時間に彼女に会う約束をしてしまった。とういのも、今日が双子の特別な日だったこともあり、双子はナージャと今夜食事だけでも過ごしたいと思ってしまったからだ。
「おまえと双子であることをこんなに呪ったことはない。まったく同じことを考えるなんて。」
キースは、フランシスを見ながら言った。二人は、本来の会う目的も忘れお互いをじっと見た。なにも言わない時間が数十分流れお互い気まずい思いとしていたが、フランシスがこのままじゃいけないと思い切り出した。
「でも、ナージャは僕たちにとって今日が特別な日であることは知らないよね。」
なんとなく、話題をそらせようとした。
「知らないさ。知っていたらますます混乱しただろうな。今日が、俺とおまえの生まれた日だと知ったらな。」
キースがフランシスを睨みながら言った。
(双子に生まれたことで、こんな思いをするなんて・・・いっそ一人で生まれたらこうにならなかったのにな。)
キースとフランシスがこの時偶然にも同じことを考えていた。
「フランシス・・この際だから勝負するか。」
キースは、フランシスに挑戦状を叩き付けた。フランシスは、結局こうなるんだと思い、ため息をついた。
(兄さんとは、フェアで勝負をつけるって言ったけど、こんなに早く勝負をすることになるなんて・・・しかも誕生日に)
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