もう一人のドリームナージャ3(操られた貴公子編)

□第9章 狙われた黒バラ
1ページ/4ページ


デイルは、窓から舞踏会客を見ていた。ふと、ある青年と少女の姿が目に入った。
「キース・・それにナージャ・プレミンジャーか。」
キースの名前を呼んだときは優し気だったのにナージャの名前のときは恐ろしいほど低い声で言った。すると、ウォール伯爵にとりついていたシャドウドールがデイルに声をかけた。
「いかがなさいますかデイル様?」
デイルはすこし考えながら言った。
「キースは確か新聞記者としてここにきているんだよね。」
「そう聞いています。」
シャドウドールがデイルに言った。デイルは、とたんにうれしそうな顔になる。
「まさか彼の方からここに来てくれるなんて夢にも思わなかったけどね。でも、チャンスだね。フランシスもいたらよかったけど、二人まとめてっていうのはちょっと難しいだろうからね。キースをここに連れてきてくれ。あと、ナージャ・プレミンジャーの心を奪え!」
デイルがシャドウドールに指示する。すると、シャドウドールはすぐに部屋を出ていった。残されたデイルは、相変わらず嬉しそうな顔をしている。
「こないだ会ったのは彼らの夢の中だったから覚えているかな。それにしても、キースはアメリアによく似ている。ほんと会うのが楽しみだ。」





そのころそんな計画が進んでいるとは知らないキースは、ナージャたちと一緒に会場に入った。舞踏会の会場なんて久しぶりだし、今回自分は、フランシスとしてではなく、新聞記者のキースとしてこの会場にいる。キースは、なんとなく違和感を感じていた。そして、隣でドレスを着ているナージャを見た。
(ナージャは、なんとしても守らないといけない。それにマコレットも。もし、マコレットの力ことが公になったらまずい。)
「キース。大丈夫?」
キースの目が鋭くなって周囲を見ているのに気付いたナージャが言った。
「大丈夫だ。何も気にしなくていい。」
キースはそっけない態度で答える。
その時だった。奥の方から執事らしい人がキースの方にやってきた。キースと他の4人も気が付いた。
「これはおこしくださいましてありがとうございます。旦那様が取材を是非受けたいとのことです。」
「そうですか。じゃあ行こうか。」
ハービーが言うと、執事が立ちはだかった。ハービーは少し驚いた顔をしている。
「すいません。取材はそこにいる金髪の髪をした青年にしてもらいたいとの旦那様からの申しつけがありまして。」
キースの方を見て執事が言った。キースの目が光った。
(これは何かあるな。)
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ