もう一人のドリームナージャ3(操られた貴公子編)

□第3章 トラブルメイカー
1ページ/2ページ


4人は、おいしいと評判のパスタ屋に向かった。その店は、ローマでとても有名な店で、庶民から貴族までさまざまな身分の人が食べに来る店だった。マコは、パスタが好きだったので、どんなパスタを食べようかで頭の中がいっぱいだったため、オスカーが、マコに向けている視線に気づかなかった。オスカーの隣にいたヒルダはオスカーの様子が少し変であると感じたが、あくまでこのピアニストの演奏がすばらしくかったので、食事に誘ったと考えることにした。
「えーと、やっぱりイタリアに来たんだからなんのパスタ食べようかな。カルボナーラかな・・・それともシンプルなペペロンチーノ・・、トマトソースも捨てがたい。」
マコが食べ物に関して熱く語っていたので、ナージャが呆れた顔をして言った。
「もうマコったら、ローマに来てからパスタのことばかりなんだから。」
そんな無邪気に喜んでいるマコの姿を見て、オスカーはうれしくなった。
(なんでだろう。マコを喜ばせたいと思ってしまう。)
オスカーは自分の気持ちに戸惑いを感じながらマコとナージャを見ていた。


店に着いてみるとその店は人でいっぱいだった。4人が入った時にちょうど席が空いてすぐに入ることができた。
「ラッキーだったね。」
とマコがナージャに言った。
「そうね。こんなに混んでいるのに入れたんですものね。」
「さて。二人とも好きなものを選んでくれ。」
オスカーが二人に言うとマコがメニューに食らいついた。マコは、ときどき女の子らしからぬ行動をとってしまうが、マコ自身は、あまり気にしないようにしていた。もっともナージャには、もっと女の子らしくしたらいいのにとよく言われていた。でも、オスカーはそんなマコの素の姿がとても新鮮だった。マコが夢中になってメニューを見る姿がとてもかわいらしく彼には見えた。





そんなとき入口近くが騒がしくなった。お客たちが何事かと立ち上がる。マコもナージャもなんだろうと顔を見合わせる。
「困ります。お客様!!」
店員が言う声が聞こえる。
「俺の言うことが聞けないというのか?いい度胸だな。」
と大声でどなる声が聞こえた。マコは立ち上がり、その声の主を見た。金髪に鋭く光った黒い瞳の青年だった。青年は、店員に対して脅し口調だ。
「この俺を・・・ウォール伯爵家の御曹司にこんな扱いをするなんてどうかしてるな。店がいっぱいだったら、平民どもを追い出して、俺の食べるスペースを作ったらどうなんだ。」
青年が定員に向かっていうと、その言葉にカッと来たマコが水の入ったグラスを持った。オスカーは、マコが動いたので何をするのかと思ったが止めることができなかった。ナージャは、マコを止めようとしたがマコはいつものように振り払って、ウォール伯爵家の御曹司に歩み寄った。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ