もう一人のドリームナージャ3(操られた貴公子編)

□第1章 影使い
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一人の少年が物思いに更けながら夜道を歩いていた。彼にとってこんな静かな夜は彼女と過ごした時間を思い出すこのちょうど良い感じの夜だった。突然クスリと笑う。
(アメリアは、よく暗い道が怖くて僕の後ろから歩いていたっけ・・・。)
少年とって、彼女との過ごした時間はそれほど長くなかったが、特別な時間だった。アメリアといるときだけ、自分はいつも本当の自分でいられたような気がした。彼女の笑顔は、少年にとってどれほどの励みになったか・・・。そんなことを考えながら目的地に向かって歩いていた。
(そろそろ種が熟したころだ。やつらの心の弱い部分に忍び込みなんなく操ることができるころだろう。)
少年は、ニヤッと笑い、目的の場所に向かった。
少年は、ある大きな屋敷についた。屋敷にはまだ明かりがあり、屋敷の中では、人が動き回っている。
しかし、少年は屋敷に人がいることなんて気にしていないかのようにどうどうと正面から屋敷に入っていった。屋敷の中は、豪華絢爛な装飾で壁中施されている。この家は相当な地位にある人間が住んでいることが屋敷の装飾から分かった。
(そろそろだな・・。)
少年は、ある部屋の前で足を止めた。そしてゆっくりと扉を開いた。そこには、二人の人物が立っていた。そこに立つ二人の瞳には、光が感じられない。まるで、人形のようにただ立っているだけだった。
少年は歩み寄り二人をじっと見た。二人の姿に満足いったのか少年は満面の笑みを浮かべた。そして、灰色のクリスタルを取り出すと呪文を唱え始めた。
「我、人の心を自在に操るものなり、契約に従い、我に力を・・。」
するとシャドウドールが2体あらわれた。
「デイル様、いかがなさいますか?」
シャドウドールが少年の名前を言う。デイルは、シャドウドールに間髪入れずに命令した。
「こいつらに乗り移り心を支配しろ。そして、多くの貴族どもの心を奪え。できるだけ多くの心を・・・。」
とデイルが強く言うと、シャドウドールはそこに立っていた二人に乗り移った。デイルが満足げな顔をした。
(アメリア、君に会える日が近づいている・・。きっと君を甦らせてみせるよ。)
デイルはクリスタルをぎゅっと握りしめた。ふと、何かを感じた。
「騎士が近づいている。」
デイルがボソッと言った。デイルの眉間にしわがよる。
「シャドウドールたち、騎士が来たら丁重にもてなせ。運が良ければあいつのクリスタルを奪い、一緒にいるナージャ嬢を仕留められる。そうすれば、キースとフランシスの心を占めている邪魔者が消える。」
デイルは、騎士とナージャの名前の部分を吐き捨てるように言った。
(あの二人をその気にさせるには、ナージャとマコレットは邪魔だ。双子がアメリアを思う心が甦らせるには・・必要になる。)
「マコレット来るなるなら来い。今回はそう簡単に負けないよ。」
デイルは窓を見ながら言った。

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