もう一人のドリームナージャ2(デス・ジュエル編)

□第4章 チャリティーなんて
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フランシスは、バリース伯爵の舞踏会に参加する予定になっていた。彼はもちろん舞踏会が苦手だ。だから、出たくはなかった。でも、チャリティーのために出てくれと言われれば話しは別である。それに今日は、友人のジョンも呼ばれている。
その時、コンコンというドアを叩く音がした。フランシスはジョンだと思いドアを開ける。すると、そこにいたのは、キースだった。フランシスは少し驚いた。しかし、すぐにキースを部屋に招き入れた。
「どうしたんだい?」
キースに問いかける。キースはフランシスが舞踏会にいく準備をしていることに気づく。
「フランシス今日の舞踏会には行くな。」
「え・・急にどうしたんだキース。てっきりまたネタ探しかと思ったんだけど。」
いつになく真剣なキースを見てフランシスは準備の手を止めて話を少し聞くことにした。
「今日のパーティで大勢のやつが殺される。」
キースはフランシスに低い声ではっきりと言った。
「もしかして、デス・13のことかい?」
「ああ。」
フランシスは自分の出席するパーティはデス・13の来そうなものではないと思ったので、キースの言っていることが良く分からなかった。
「デス・13は、悪い貴族をターゲットにするんだろ。僕が行くところはお門違いじゃないのかい?」
キースは、フランシスの問いにどうこたえていいのか少し悩んだ。
「確かにお前は、デス・13のターゲットになりえない。しかし、他の奴らはどうだ。」
フランシスは、キースの言いたいことが少し分かった。
「つまり、バリース伯爵のことかい。表と裏の仮面をもった。」
「知っているのか?」
キースはフランシスが知っていることにちょっと驚いた。
「噂で・・・なんでも、若い女の子を舞踏会に招待して、その日だけお姫様気分を味わってもらったあとに人身売買に売り渡しているとか。キースが来るってことは、あながち間違いないみたいだね。」
バリース伯爵のことをこんなに知っていたことにキースは感心した。
「キース。僕だってバカじゃないんだ。そのくらいは調べているよ。でも、ほんとチャリティーなんて言ってそんなことをするような奴がいると思うと反吐が出るよ。」
フランシスがいつになく汚い言葉を使うので、キースはフランシスが内心相当怒っていることが分かった。
「フランシス・・。」
キースは何か伝えようとしたけが、その前にフランシスが言った。
「正直、ノブレスオブリッチにはもう限界を感じているよ。でも、ここで僕が引き下がったら僕と兄さんの信念が負けてしまう。それに今日のパーティで、もし誰かが罠にかかりそうなら助けることもできると思う。」
フランシスの言葉を聞いてキースは自分がフランシスを甘く見ていたと思った。
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