もう一人のドリームナージャ 1 (序章編)

□第6章 ハーコート侯爵家
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その日ナージャはいつもよりなんだかそわそわしていた。マコは、ナージャがこんなにそわそわしている姿を見たことがなかった。
「なんだか今日のナージャはいつもよりそわそわしている気がする。」
マコはナージャに言った。するとナージャの動きが止まり少し顔が赤くなっていた。
「そうかな。」
「そうだよ。だって、なんだか浮き足立っているし、そんなに楽しいことがこれから行くところに待っているの?」
マコは、ナージャの返答を待つ前にシルヴィーがナージャの代わりに答えた。
「これからハーコート侯爵家に行くのよ。ハーコート侯爵の義理の妹のエマ様がおばばの帽子の大ファンでいつもイギリスに来た時はハーコート侯爵家によって行くのよ。」
とシルヴィーはナージャの方を見て言った。マコは、貴族の家に行くのがそんなに楽しいことのようには思えなかった。マコの中での貴族は、最低最悪な連中で、平民を屑だと思っているやつらのことだと考えていたからだ。だから、怪盗黒バラが現れたときは、マコはすごく喜んだ。あいつらの鼻の骨を折ってくれたみたいで。でも、怪盗黒バラは突然半年前にいなくなってしまってマコは少し残念で仕方がなかった。
「ふーん貴族の家に行くのがそんなに楽しみなんてナージャってやっぱり不思議ね。」
とマコが言った言葉も届かないくらいナージャは何かに思いをはせていた。マコは、少しつまらなそうな顔した。
「ナージャに相手にされなくて寂しいならおいらが話にのってやってもいいんだぜ。」
ケンノスケがマコに近寄り声をかける。最近少し、ケンノスケの自分に向けている態度もおかしいとマコは感じ始めていた。ひょっとして、自分とナージャが似ていることでケンノスケが自分に好意を持ったのではないかと考えるほどだった。
「大丈夫よケンノスケ。私基本的に一人でいろいなことを考えるのが好きだから一人で大丈夫よ。」
マコはケンノスケにそう告げるとそそくさとその場を後にした。後に残されたケンノスケは、寂しそうな顔をして立っていた。すると、ケンノスケの背中をリタが叩いた。
「かわいそうに。ナージャにも、マコにも相手にされないなんて。」



ほどなくしてハーコート侯爵に着いた。マコはその規模の大きさに驚いた。こんなにすごい貴族の屋敷は始めて見る。
「あーすごい。輝いている。」
と思わずマコは言った。ナージャは、ますますそわそわしている。マコはついナージャのことが気になってしまう。なぜだろうこんなに他人を気にしたことはない。
「ナージャ行っておいで今日はどっちみちここに泊まるから。」
そわそわしているナージャを見ておばばが言った。すると、ナージャはトランク持ってすぐにからくり自動車から出ていってしまった。マコは、つまんなそうな顔しているとおばばがマコに近寄ってきた。
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