もう一人のドリームナージャ 1 (序章編)

□第4章 ダンデライオン一座
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マコは、その夜ダンデライオン一座の団員たちと一緒に夕食を食べた。夕食はとてもにぎやかで笑いがたえなかった。
「へー。それじゃ一人で旅をしているんかい。」
アーベルという昼間ピエロをやっていた男がマコに話かけた。マコは、アーベルの方を向いて答えた。
「ええ。いろんな国を回って自分探しをしています。」
それを聞いたナージャがマコの話をもっと聞きたくてマコに問いかけた。
「自分探し?」
ナージャが少し不思議そうな顔でマコを見た。マコは、確かにナージャのような女の子には、あまり理解されにくい話かもしれないと思った。
「私、赤ちゃんの時にドイツの孤児院に預けられたから、自分の素性は、自分の名前とあとこのペンダントしか分からないの。」
マコはそういうとおもむろに胸にしまっていたペンダントをナージャに見せた。ナージャは、目を輝かせてペンダントを見た。
「わーきれい。」
ナージャがそういうふうにいうのも無理はない。ペンダントは、つくりが凝っていて、中央にハートのクリスタルが埋め込まれてそのまわりに銀色の羽が生えたデザインになっていた。マコは、ナージャにニコッと微笑んだ。
「これが私の唯一の宝物よ。」
「私のブローチと同じね。私のブローチも赤ちゃんの時にお母さんからもらったものなのよ。それに私も孤児院出身なのよ。」
マコは、ナージャの方を向いて悪いことを言ってしまったような気がした。というのも孤児院出身ということは、両親になにかあって預けられた子供が集まる場所だからだ。
「マコそんな顔をしないで。私、つい最近生き別れていたお母さんに会うことができたのよ。」
ナージャがマコの方を向いて言った。マコは、少し驚いた。生き別れた親に会ったという孤児院出身者などそうそういないからだ。
「へーよかったね。ナージャのお母さんってきっとやさしい人なんだろうな。」
とマコは、ナージャの顔を見ながら彼女の母親を想像した。
「マコも、自分探しをしながらひょっとしたら自分の家族に会えるかもしれないわ。」
ナージャは自分の経験からマコも自分探しをしながら家族を探しているのではないかと考えた。しかし、マコの自分探しの旅は、ナージャのいうような家族探しのようなそんな希望にあふれた旅ではなかった。マコは、ナージャに旅の本来の目的について話そうかとふと思ったが、本当のことを教えたところで信じてもらえないなと思い、開きかけていた口を閉じた。
「マコこれからどうするんだい?」
おばばが、マコに話かけた。マコは、思っていることをそのまま伝えた。
「特に目的地がない旅なので自分のペースで旅を楽しもうかと・・・。」
マコは伝えた。その言葉を聞いていたマコの隣に座っていた小さな女の子がマコに話かけた。
「じゃあ、マコ一緒に旅してみない?」
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