もう一人のドリームナージャ 1 (序章編)

□第3章 私の名前は・・・
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少女は、ナージャについていった。ナージャは、とてもおしゃべりが好きなのかとなりでよくしゃべっている。少女は、ナージャのおしゃべりが聞いていて心地よかった。
「・・それで私、急いで駆け出したんです。」
とナージャがさっきの出来事を話していす。聞けば、久ぶりに故郷であるイギリスに来て散歩をしていたところにあのドロボーにブローチを取られたらしい。
(一人で散歩するにしてもあんなところに行くなんて・・ちょっとばかり天然なのかな?)
と少女は、ナージャが話しているときに思った。裏道は普通通らない。自分ならともかくナージャのようなか弱い少女ならなおさらだ。
「そうだったんだ。」
少女が、ナージャの話に合わせて答えると、ナージャは足を止めた。
「あそこが私の家よ。」
ナージャが自慢げにいうと少女にニコッと笑いかける。ナージャにとってダンデライオン一座は特別なものなのだということが少女には分かった。
ナージャがダンデライオン一座のからくり自動車に招きいれてくれた。少女は、からくり自動車の中がこんなふうになっているのかと思いながら一歩ずつ進む。そして、先に進むとそこには、美しい女性ととっても小さな老人がなんだか話していた。
「ただいまー。」
とナージャが二人によびかける。すると、二人ともナージャの声にこたえておかえりナージャと言う。その暖かな視線からナージャは、この人たちに愛されているのだということが少女には分かった。
「ナージャそっちにいる子は?」
美しい女性がナージャに尋ねる。ナージャは、二人にさっきの出来事を詳しく話した。ナージャが話終わったときには、二人とも笑顔で少女を迎え入れた。
「そうだったの。それは大変だったのね。でも、本当にありがとうね。」
少女の方を向いて美しい女性が少女に話かける。
「いいえ。当然のことをしたまでです。」
少女は照れ臭そうにいうとさっきはいってきたドアが開き、誰かが入ってきた。
「ナージャもう帰ってきたのか。」
ナージャに話かけたのは、ケンノスケだった。ナージャはケンノスケにそうよと答えた。ケンノスケは、ふと一人ダンデライオン一座の団員でない者がいるのが分かった。
「ナージャ・・」
と言いかけたときケンノスケは少女の格好を思い出したかのように叫んだ。
「アー昼間の・・ナージャに近寄ってきた男じゃないか!!」
少女はケンノスケをにらんだ。
「誰が男だなんていったのよ。よく見なさい。」
と少女がかぶっていた帽子を脱いだ。すると帽子から黒髪のツインテールが現れた。ケンノスケが驚いた。少女が、女の子だったことにも驚いたが、先ほどは帽子を深くかぶっていて顔が見えなかったせいか、ケンノスケがよく少女の顔をみると少女の顔がナージャに似ていた。
「ナージャ!!」
とケンノスケがナージャの方を向く、ナージャも少し驚く。少女は、みんなが女の子であることにこんなにも驚いているのかと勘違いした。
するとまたドアが開き小さな女の子が入ってきた。その子も少し驚いた顔をしている。
「ナージャが二人!?」
「えっ!!」
少女は、とまどったまさかナージャに似ている理由でみんながこんなに驚いていることに対して、知ったためである。
「えっ私が、ナージャにそんなに似ている?」
と少女がみんなに尋ねるとその場にいた人間がうんうんと頷いた。少女は、最近まで自分の顔をよく見る機会がなかった。というのも、少女は、鏡を普段もっていなかったからだ。
すると、ナージャが鏡を取り出した。
「ほらね!」
とナージャと一緒に鏡に映りこむ。言われてみれば少し似ている。顔つき、目の色など・・・。
「世界広しといえどこんなに似ている子にはそうそう出会えないよ。」
小さな老人が二人を見ていった。ナージャと顔を見合わせた。この子と私の顔がそんなに似ているなんて思わないけどなと少女は心の中で思った。
「わー髪の黒いナージャだあ!」
と小さい女の子が少女に駆け寄り少女に抱き付く。少女は少し動揺したが、同時にナージャがこのダンデライオン一座で好かれていることが改めて分かった。
「ところでおまえさん名前はなんて言うんだい?」
と小さな老人が少女を見て問いかける。少女は、少し動揺した。自分の名前は人の名前として少しおかしい名前だと感じていたためである。
「なんて言うの?」
とナージャも少女に聞いてくる。少女は、自分によく似ているナージャに対して本当の名前を教えて笑われたらどうしようと考えていた。だがナージャがあまりにも少女を見つめるため、少女もため息まじりに自分の本当の名前を言った。
「マ・・・マコレット・・」
少し恥ずかしくてマコレットの顔が赤くなった。
「いい名前ね!!」
ナージャがマコレットに満面の笑みで答える。マコレットは、ナージャが嬉しそうにしているのを見て安心した。自分の名前を言って変なのと言われなかったのはこれが2回目だったからだ。
「マコレット珍しい名前だね。」
小さい老人も嬉しそうな顔をしている。しかし、マコレットはとっさにあることを言った。
「私、本名で呼ばれるの慣れてないからマコって呼んでほしいの。」
マコはみんなに恥ずかしながら言う。するとナージャがマコの手を握った。
「じゃあ、マコよろしくね。一緒にご飯食べよう!!」
ナージャはマコの手を引いて外に連れ出す。マコは、少しびっくりしながらついて行った。
「おばばあの子・・・なんだか不思議な子ね。」
美しい女性がおばばと呼ばれた小さい老人に声をかける。おばばは、笑いながら言った。
「そうだよ。なんてったって、あの子は、運命の女神に愛された子だからね。」

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