もう一人のドリームナージャ15(マザーローズ編)

□第5章 突然の勝負
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外は快晴で雲一つない天気、かぜも心地よい。しかし、家の中では火花が散っていた。
「マコレット、今日は私と一緒にピクニックに行かないか?」
レイモンがかわいい娘に問いかける。
「ええ、私もちょうどそう思っていたところなのよ。」
にこやかに返すマコ。
「マコレットが行くなら俺も行く。」
その声をきいた途端、部屋の中のほんわかした空気がいっきに冷めた。
「え?」
マコはうそでしょとでも言いたげな顔をする。
「俺が一緒じゃ不満か?」
キースがマコに問いかける。
「不満よ‼」
間髪入れずにマコは答える。さすがにキースの心にぐさりと刺さる。
「なにがそんなに不満なんだ‼」
「そんなに怒った顔した人を連れて行くことが不満よ!」
「別に怒ってないだろ。」
「怒っているわよ。」
マコとキースが言い争いを始める。
「だいたい、ストーカーだかなんだか分からないけど、いい加減出て行ってよ。」
マコが睨みながら言った。キースは、持っていたマグカップをドンと置く。
「ストーカーだと?誰がマコレットのストーカーだっていうんだ?」
「あなたしかいないでしょ?」
マコがキースに言い放つ。それを近くで聞いていたレイモンがニヤリと笑う。キースは、レイモンの顔を見て思わず、掴みかかりたいと思ったが、ここで掴みかかった方が負けだと思い、自分を抑える。
(マコレットは、俺とのことを忘れているだけだ・・。それにこのままだとあいつの思い通りになる。)
そう、キースはよく分かっていた。自分に今人生において最大で最強の敵がいることを・・そう、父親という敵を!
「とにかく、マコレット俺も、ピクニックに行く。」




結局、マコとレイモンの後からついていくことになったキースだった。だが、彼は小さいころにピクニックに母親とフランシスと一緒に行ったきりだったので、なんとなく複雑な感じがした。
「マコレット、今日はどこまで行こうか。」
レイモンがバスケットをもちながら話す。
「うーん、どうしようかな。この間行ったきれいな湖に行きたいな。」
マコがレイモンに言う。その顔は、心なしかいつも以上に表情が柔らかい。
(あいつ・・あんなふうに笑うことあったか?)
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