もう一人のドリームナージャ15(マザーローズ編)

□第1章 再会
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荒れ果てた部屋の中に一人の女性が佇んでいる。その姿は、まるで女神のようだった。金髪の輝く髪、星が宿るような深く青い瞳をした女性。そう、その姿は彼らと同じで―――
「あ・・あなたは・・・。」
ナージャは、女性の方に歩み寄る。不思議な感じがした。自分はこの人にかつて一回会ったことがあったから初めてという感覚がなく、懐かしいとさえ思ってしまう。
「かあ・・・さん・・・。本当に母さんなの?」
フランシスの震える声がナージャの耳にも届く。どうやら彼は、信じられないようだ。
「フランシス・・・大きくなったはね・・・。」
アメリアは、自分の息子を見て微笑む。ナージャは、複雑な気持ちだった。
(アメリアさんが・・本当によみがえったのだとしたらマコは?・・・キースは?)
ナージャは、あたりを見回すがそこには自分たち以外に狂喜乱舞する少年デイルしかいない。
「ああ・・・アメリア・・・この時をどれほど待ち望んだか。」
デイルが、アメリアに歩み寄ろうとする。しかし、その歩みはフランシスによって制止される。
「フランシス!」
ナージャが声を上げる。
「デイル、君は僕がいる限り母に近づくことはできないよ。」
フランシスは、デイルをにらみつける。一方のデイルの目にはフランシスの姿が映っていないのかぼうっとしている。
(デイル・・君には僕が見えていないようだね。)
「ははは、これでもう僕の願いはかなったんだ!これでもうなにがどうなってもいいさ。」
デイルはそう言うと、自分が今まで大切に持っていたシャドウジュエルを放り投げた。その様子を見て、ナージャもフランシスも驚く。シャドウジュエルは、床に落ちてカランと音を立てる。
「さあ、アメリア僕と一緒に行こう。そして、人生をやり直そう。」
デイルがアメリアに手を差し伸べる。
「母さん、デイルの言うことは聞かないで!」
フランシスが、アメリアの方を見て言う。
「フランシス・・・・。そうね、あなたの言う通りね。デイル・・・。」
アメリアは、フランシスよりも前に出てデイルを見る。
「私は、あなたと一緒にはいけないのよ。そう、人生をやり直すことも・・・。」
アメリアの目は落ち着き払っている。
「え?」
信じられないという顔をするデイル。
「私は、一度死んでいるわ。それにあなたはやってはいけないことをしてまで私をよみがえらせてしまったんですもの。」
アメリアが床に転がったシャドウジュエルを見る。
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