もう一人のドリームナージャ14(ハーコート侯爵家編)

□第8章 緊迫した夕食
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マコとキースは、話すのをやめ孤児院に戻ろうとしていた。マコの前を歩くキースの小さな背中を見ていたマコはどう話しかけていいか分からなかった。
(キースって、ずっとこんなだったのかな?ナージャに会ってから変わったのかな?)
キースとマコの間は、どんどん離れて行く一方だった。それは、まるでマコとキースの心の距離のような感じがした。
(私ってやっぱりキースのこと何も知らないんだな・・・。)
「マコレット!」
突然キースが振り返り、マコに向かって何かを投げた。マコは反射的にその物を受け取る。マコが、受け取った物は、真っ赤な小さなリンゴだった。
「あっ!リンゴ‼」
マコは小さなリンゴを見て驚く。
「いつの間にリンゴなんて!」
キースの方を見ながら言うマコ。一方のキースは、得意そうな顔をする。
「俺って、すごいだろ?」
どこか自慢げだ。そんな小さなキースが少しかわいいとマコは思った。
「そうね・・・キースは、将来マジシャンになるのかしら?」
マコは冗談半分にきくとキースが考える。
「うーん、マジシャンね・・悪くないかもな・・・。」
キースはもう一個リンゴを取り出しかじりつきながらしゃべった。その姿に少し笑顔を取り戻すマコ。
(よかった・・・なんだか私の知っているキースに戻ったような気がする。)
マコが安心していると、一人の少女がこちらに向かって駆け寄って来た。
「おーい!マコ、キース!」
「ナージャ!」
マコがナージャに駆け寄る。
「もう、どこまで行っていたの?」
ナージャがマコに問いただす。確かにもう日が傾き始めている。
「ごめん、ちょっとキースと話していたらこんな時間になったのよ。」
マコはキースを見ながら言った。
「キースとおしゃべりね・・・楽しかったのかしら?」
ナージャは、マコではなくキースを見ながら言った。ナージャの問いかけにキースは答えようとしない。
どうやらあまり聞かれたくないようだ。
「ええ、楽しかったよ。ナージャ。」
マコはキースの代わりに答える。
「そう。ならよかったわ。ところでフランシスもアメリアさんも待っているわよ。早くいきましょう。」
ナージャに連れられて孤児院にキースとマコは戻った。
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