もう一人のドリームナージャ13(大英博物館編)

□第1章 電話
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一人の少年が新聞を片手に優雅に紅茶を飲んでいた。少年は、見た目の割におとなっぽい振る舞いをしていたため、とてもきれいに一人きりのティーパーティを楽しんでいた。
「やっぱりダージリンは美味しいよ。」
少年が感想を言うと、メイドの一人が部屋に入って来た。メイドは、電話を持っている。少年は、メイドに気づくと笑顔で言った。
「僕に電話かい?」
少年が聞くと、メイドは近づき、少年に受話器を渡した。
「いつも、ありがとうね。」
少年が、受話器を受け取るとメイドにお礼を言った。そして、自分の耳に受話器を当てた。
「どうしたんだい?ジェニファー?」
少年は、電話を自分にかけた相手が分かっていたみたいで当然のように言った。
「あら、久しぶりね。デイル・・。」
「久しぶりだね。君が電話をするなんてどういう風の吹き回しだい?」
デイルはジェニファーに聞きながら電話線をもてあそんでいる。
「また、知っているくせに。よくそんな口が聞けるわね。」
「・・・ははは、僕が全部知っているなんて思わないでくれよ。でも、予想はついているけどね。」
「なら、当てて見なさいよ。」
デイルは、少し間をあけてジェニファーの問いに答えた。
「さしずめ、マコレットにやられたんだろ?でも、君は警察に捕まっていないことは正直驚いているよ。」
デイルは、自分の考えを伝えた。ジェニファーは、その答えを聞いて舌打ちした。
「しょうがないじゃない。爆弾を止めて、自分が助かるにはそれしかなかったし、もうあんな海賊団にいる必要もなくなったからね。」
ジェニファーがデイルに愚痴を言った。
「それで、僕に愚痴を言いに電話したわけじゃないだろ?」
「ええ、あなたが狙っている獲物は、今ロンドンにいるわ。」
「・・・・わざわざありがとう。でも、そんなことはもう知っているよ。」
デイルが自分の知っている情報をもらっても仕方ないので切ろうとした時ジェニファーが言い放った。
「デイル・・・あんた本当にあの子に勝つ気なの?」
それを聞いて、デイルが一瞬黙る。
「へえ、あまり自信なさそうね。」
「ジェニファー、負けた君にそう言われてもね。」
「私は、負けたわけじゃないわよ、デイル。」
「え?」
電話の向こうでジェニファーは、ニヤリと笑った。
「私は、あの子にこの世界を変えてほしいと思ったから私のボイス・ジュエルを託したのよ。」
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