もう一人のドリームナージャ11(ロマンス編)

□第8章 ロマンチック
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そのころ、ナージャはフランシスとマコの帰りが遅いことが気がかりだった。というのも、かれこれ30分以上帰ってこない。ナージャの横にいたキースも内心不安だった。何しろマコは、いつも自分をハラハラさせるトラブルメイカーだったからだ。例えフランシスが一緒だったとしても安心できない。
「遅いわね。マコとフランシス・・・。」
メリッサも心配しているようで二人の帰りを待っている。しかし、二人が帰ってくる気配がない。それに、メリッサもあまりゆっくりはしていられなかった。なにしろ後一時間弱でお見合いの時間になってしまうからだ。
「ナージャ・・・どうしよう。いくらマコを待っていたくても、時間が・・・。」
ついにメリッサは、ナージャに不安な気持ちを口走った。ナージャは、一瞬迷ったが、不安そうにしているメリッサをこのままさらに不安にさせならないと思ったのか決心をする。
「オスカー・・・、マコとフランシスを待っていたいけど、メリッサにも時間がないの。だから・・・。」
ナージャがオスカーに言いかけると、オスカーも納得したようで頷いた。
「ああ、分かった。メリッサ、君は準備をしないといけないと思うから、一回部屋に帰って準備をするといい。」
オスカーがメリッサの姿を見ながら言った。メリッサもさすがにこの姿でお見合いはできないと思っていたので、一回部屋に帰って支度をしようと思っていた。
「ええ、そうするわ。でも・・。」
メリッサは、ナージャの方を向く。どうやらナージャに手伝ってほしいようだ。メリッサの態度からナージャはそのことを察した。
「メリッサ、分かったわ。一緒に行きましょう。じゃあ、ロビーで集合ね。」
とナージャは、キースとオスカーにいいメリッサと一緒に部屋に帰って行った。
残されたキースとオスカーは、無言だった。まあ、二人とも特に話すことなどないのだから当然だ。しかし、オスカーはなんとなく、このまま無言の状態はまずいと思ったのか、キースに声をかけた。
「キース・・・君は、彼女たちと旅をしているみたいだけど・・・正直マコとナージャは、どんな危険な目にあっているんだい?」
オスカーは、内心危険な目にあっている二人のことが心配だった。実際、ナージャは義理の従妹だし、マコは自分の好きな女の子であったから聞いておきたかった。
「もし、二人が危険な目に会っていたからってお前に何ができるんだ?」
キースが思いもよらぬことを口にしたので、オスカーの目が見開いた。
「え?」
「俺は、お前がたとえ二人の置かれている状況を知ったからといってすぐに行動に出るとは思えない。」
その言葉にオスカーは答えられない。キースの言っていることは一理ある。確かにマコとナージャの状況を知ったところで自分はすぐには行動できない。なぜなら自分には母親がいて、コロレード家があるからだ。そう、キースのように自由には動けないのだ。
「だとしても、少しでも彼女たちの助けになりたい。」
オスカーが言うと、キースは冷たい目で見る。
「なら、心配いらないな。」
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