もう一人のドリームナージャ11(ロマンス編)

□第6章 作戦
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そのころ、ホテルの取り残されたフランシスとキースは、マコとナージャがいなくなっていることに気づき、あちこち探し回っていた。二人は、ホテルの中から周辺を捜した。こんなに一生懸命になって探すなんて一見大げさな気もしたが、マコにはこないだの一件があるし、ナージャも危険に巻き込まれている可能性がないとは言えなかった。
「兄さん、ホテルの中はどこにもいなかったよ。」
フランシスが言うと、キースが舌打ちした。内心不安で仕方がないようだ。フランシスは、この時この兄をここまで不安にさせることができるのはナージャとマコレットの他にいないと思っていた。
「ホテルの周辺もいなかった。いったいこんな朝からどこにいったんだ?」
キースが悪態をついていると、自分たちのほうに歩みよって来る一人の青年がいた。フランシスもキースもその青年をよく知っていた。
「君たちは・・・キースとフランシスじゃないか!」
キースはこんな時にかぎって何で知り合いに会うんだと思った。正直彼にとっては、面倒以外のなにものでもない。
「君は、オスカーじゃないか。」
一方、キースとは違って社交性のあるフランシスが言った。オスカーは、ナージャの義理のいとこにあたる人物であったし、何回かオスカーとはマコの一件で協力したことがあるから、フランシスにとっては友人のような存在だった。
「まさか君たちにパリで会うなんて思っても見なかったよ。」
オスカーが笑顔で言う。フランシスも、笑顔で返す。一方のキースはそれどころではないと言いたげな顔をする。
「オスカー悪いが、おまえの相手をしている暇は俺にはない。」
「兄さん、確かにそうかもしれないけど、そんな言い方ないだろ?」
フランシスは、こういう社交性のないキースの態度があまり好かなかった。まあ、昔から兄がそうなのは分かっていたが。一方のオスカーは、キースの発言を聞いてあることに思い当たった。
「キース・・・君もしかして、マコになにかあったんじゃないのか?」
キースは、そっぽを向く。しかし、このキースの態度でオスカーは確信したらしい。
「マコに何かあったんだったら僕にも協力されてほしい。」
オスカーが申し出た。フランシスにとっては、大歓迎であったが、キースはイラッとした。
「悪いが、お前の協力がなくても、俺一人で十分だ。」
ついにはフランシスのことも邪険に扱う始末だ。これには、フランシスも思わずため息をする。
「兄さん、いい加減にしないか!彼女たちを探すのは二人よりは三人の方がいいに決まっているだろ?」
弟の言葉にさらにキースの機嫌は悪くなる。キースは、オスカーがマコに気があることを知っていた。だから、よけいなことをしてほしくなかった。
「フランシス・・俺は俺のやり方で探す。オスカーとお前は勝手に探せばいい。」
「兄さん!」
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