もう一人のドリームナージャ11(ロマンス編)

□第1章 メリッサとの再会
1ページ/2ページ


ドンと扉が勢いよく開いた。
「お父様とお兄様なんかの言うことなんか聞かないわ!」
そういうと、少女は、勢いよく、部屋を出て行った。少女は、短い茶色の髪をたなびかせるとそのまま走った。
「メリッサ!」
少女の兄が追いかける。
メリッサは、兄に追いかけられながらホテルの中を駆け巡る。けれど、次第に息が苦しくなり、発作が生じてしまった。仕方なしにいったん息を整えようと休んでみるが、一向に発作は収まらないし、息は乱れていく一方だ。
「お兄様に追いつかれちゃう。」
息をハアハアされていると、肩を軽く叩かれた。振り向くとそこには自分と同じ茶色の髪をした端正な顔立ちの青年がいた。
「お兄様!」
「こら、メリッサ・・・こんなに走っちゃダメだろ。」
お兄さんがメリッサに怒る。しかし、それでも、メリッサは反省の一言もない。見かねた兄は、とりあえずメリッサの背中をさすりながらメリッサの呼吸を整えようとした。
「メリッサ・・・あんなことを言わなくてもいいじゃないか?」
「・・・お父様はひどいわ。私の意思なんて全部無視なんだもの。私・・・まだ13歳なのよ。」
メリッサの言葉を聞いた兄が複雑な顔をする。
「しかたないよ。ここではお父様のいうことは絶対なんだから。」
「でも・・・いやよ。私・・・好きでもない人と婚約なんてしたくない。お兄様には私の気持ちなんて分からないでしょ。」
それを聞いて兄は黙ってしまった。しかし、いろいろ頭の中で整理してから言った。
「しかたないよ。うちは、あの家の援助がないと破綻してしまうんだから・・・。」
いろいろ考えて言った説得の言葉がこれかと思うとなんだかやりきれない。
「アーサー兄さんは、男だからいいわよね。私は女だから・・・家の道具になるしかないんだから。」
メリッサは、兄をにらみつけてまた走り去ってしまった。メリッサの兄であるアーサーはなにも言えなかった。
「はあ・・僕にもっと力があれば・・・。」
ただただ俯くだけだった。



そのころ、パリの町で散策をする少女二人がいた。黒髪の少女は、地図を片手にいろんな方向に向けている。一方のプラチナブロンドの髪をした少女は、そんな地図を見ながらなにやらアドバイスをしている。
「マコ、そんなに地図をぐるぐる回したら目が回ってしまうわ。」
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ