もう一人のドリームナージャ8(鎖の魔女編)

□第9章 本当に好きなのは
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ようやく列車が目的の駅に到着したのは午後6時頃であった。ナージャとフランシスは、列車から降りた。ナージャは、外をきょろきょろ見ている。そこは、田畑が広がる村であった。フランシスが、ナージャの様子を見ながら声をかけた。
「ここが、ギャビン夫人の屋敷がある村だよ。ここ一体の田畑はギャビン公爵家の領地にもなっているらしいよ。」
ナージャは、それを聞いて、目を丸くした。
「すっごく広い領地なのね。今日は、暗くて向こうの方までは見えないけど・・・。」
ナージャが言うと、フランシスは笑顔になった。フランシスにとってナージャとの会話はちょっとしたことでもなんだか楽しかった。ナージャは、自分と同じ景色を見ていてもいろんな細かい点に気づいたり、彼女らしいかわいい発想があって、フランシスにとっては新鮮だった。
「村に行こうか。」
「ええ。」
そう言って、二人は村に向かった。もうあたりが暗くなっているということもあって、人通りがまばらだと思っていた。しかし、実際には予想に反して多くの人が村を訪れていた。
「こんな小さな村にこんなにたくさんの人が集まるなんて・・・なにかあるのかな?」
ナージャが疑問に思って言うと、フランシスも考え込んだ。
(ナージャが言うようにこんなに小さな村にこれだけの人が集まっているのはなんだか不自然だ。)
そんなことを考えていると、馬車から声をかける声が聞こえた。
「止めてくださる!」
すると、馬車が止まり、フランシスとナージャの目の前で、扉があき中なら人が出て来た。二人は、馬車から出てくる人物を見た。その人物を見るなり、ナージャは嬉しさのあまり駆け寄った。
「ジュリエッタさん!」
ナージャの駆け寄った先にいたのは、茶色の髪をしたとても気品のある美しい女性だった。
「ナージャ、久しぶりね。元気にしてた?」
ジュリエッタがナージャに微笑みかける。そして、ナージャと一緒にいたフランシスに目を留める。
「あなたは・・・。」
ジュリエッタが、フランシスを見てびっくりした感じの顔をした。すると、フランシスも二人のところに歩み寄った。
「お久しぶりです。ジュリエッタさん。」
フランシスが言うと、ナージャは意外そうな顔をした。
「フランシス・・・どうしてジュリエッタさんのことを知っているの?」
「あらナージャ、前にも話したでしょ。ハーコート侯爵と私の父は友人同士なのよ。」
ジュリエッタが言うと、ナージャは思い出したようにハッとした。
「今日は、ハーコート侯爵もいらっしゃっているの?」
ジュリエッタが聞くと、フランシスは一瞬考えてから言った。
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