もう一人のドリームナージャ8(鎖の魔女編)

□第5章 楽しい買い物
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ほどなくして、ナージャは、キースの泊まっていた部屋に泊まり、キースはフランシスと一緒の部屋に泊まった。キースは、フランシスの部屋に再び訪れるなり、不満そうな顔をして、近くにあった椅子に座った。
「兄さん?」
明らかにいらだっているキースを見てフランシスが言った。
「なにがどうなってマコレットはあんなふうに変わるんだ!」
キースが壁の向こうにいるローズマリーを睨みつける。フランシスは、そんなキースを見て言った。
「僕に話したいことがあると思っていたんだけど。」
そういうと、キースはフランシスの方を向いた。
「ああ。フランシスお前は、あのローズマリーに会ったことがあるんだよな。どんな奴なんだ。」
キースがフランシスに聞いた。
「僕が、ローズマリーに会った時に感じた印象を一言で言うと、女優という言葉が一番当てはまるよ。」
フランシスが言うと、キースの目が光った。
「女優か・・・。」
「キースただの女優じゃない。その場にいる誰もが信じてしまいそうなくらい演じることができるんだよ。」
フランシスが言うとキースが頷いた。
「なるほどな。じゃあ、マコレットは騙されているのか。」
「ちょっと兄さん、騙すってなんでマコを騙す必要があるんだい?」
フランシスが言うと、キースが考え込んだ。
確かにローズマリーが、マコに対して演技をする必要性がないとキースは感じた。
「キースは、なにか考えすぎなんじゃないかな。だいたい、今日だって偶然彼女をマコは助けたわけだし。それに、キースは会って話したことがないのに決めつけ過ぎだと思うけど。」
フランシスがもっともらしいことをキースに言った。
「まあ、それは一理ある。だがな、胸騒ぎがするんだ。ナージャの宿敵だった相手が偶然マコレットの前に現れた。なにか裏がある気がしてならない。」
キースは自分に勘についてフランシスに言った。
「まあ、こんな広いヨーロッパでまた再び会うなんて偶然にしてはでき過ぎな気もしなくはないけど。でも、そんなこと言ったら、ナージャとマコにこの数か月間の間何回も出会っていることの方が不思議な気もするけどね。」
フランシスが言うと、キースもそれには反論できなかった。確かにこの数か月の間にマコとナージャに偶然出会った回数を考えるとローズマリーに偶然出会うことなんて不思議なことに入らない。
「そうだな。まあ、明日その本人に会ってみれば分かるだろうけどな。俺の人を見る目は確かなはずだからな。」
キースは自信を込めて言った。
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