もう一人のドリームナージャ8(鎖の魔女編)

□第3章 教訓
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寒空の下一人の少女が、佇んでいた。その少女は、金髪に青い瞳をし、大きなリボンを頭にとめている。顔は、整っていて、一見かなりの美人だ。この少女の名前は、ローズマリー・アップルフィールド。以前は、ナージャからプレミンジャー公爵家の孫娘の地位を奪おうとしたナージャの幼なじみである。ローズマリーは、コートに身を包みながら、一枚の写真を見た。
「本当に現れるのかしら?」
少し不機嫌そうな顔をした。





ことの話は、数週間前にさかのぼる。プレミンジャー公爵家を追い出されて、行く当てもなくヨーロッパをさまよっていた彼女は、数週間前にある光る石を手に入れた。そして、その石の不思議な力を使って、よからぬことをしていた時、ある女性に声をかけられた。その女性も彼女と一緒で光る石を持っていた。すると、彼女に女性はある仕事を頼んできた。あまりに割がいい仕事だったので、彼女はその仕事を受けることにした。だが、あまりに話がうますぎるので若干疑っていた。特に今回言われ件にかんしては。
「この子を探し出してちょうだい。」
女性がローズマリーに写真を渡す。ローズマリーは、その写真をじっと見た。
「ナージャ?」
その人物の写真がナージャそっくりの黒髪の少女だったのでびっくりした。
「あら、その子はあなたが言う子ではなくてよ。名前は、マコレット。とても、かわいい子なのよ。できれば、一人いじめにしたいくらいなの。もう少しでドイツに来ると思うから、その子をここにつれてきてほしいのよ。あなたの力を使えば簡単にできるでしょ。」
女性は、写真と気前よく、契約料として金貨を20枚もくれたのだった。





それから、数週間というものマコレットというナージャにそっくりの女の子を探していた。しかし、一向に現れない。いい加減に探偵みたいな真似をするのにあきあきしていた。そんなことを考えているときだった。遠くから、こちらに向かってやってくる4人組に目が留まった。初めは、なんとなく見ていたが、そのうちの一人に目が留まった。
黒髪でナージャによく似た顔の少女がそこにはいた。
「マコレット。」
ローズマリーが思わずつぶやいた。しかも、驚いたことに一緒にいたのは、あのナージャだ。さらにナージャとこの間一緒にいた貴族の青年フランシス・ハーコートが二人いるではないか。
「どういうこと?」
ローズマリーはことの次第が飲み込めなった。しかし、明らかなことはあのマコレットいう少女をナージャたちから引き離す必要があるということだ。なにせ、ナージャとフランシスには自分の顔を知られているし、自分のやってきた行いによる被害者でもあるのだから。
「ナージャ、いつも私の邪魔をするのね。」
ローズマリーはナージャをじっと見て言った。その声には、どこか妬みがこもっている。とりあえず、ローズマリーは、4人の後を追うことにした。
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