もう一人のドリームナージャ8(鎖の魔女編)

□第2章 良かれと思ったことが・・
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マコは思いのほかゆっくり歩いていたので、フランシスはすぐに追いついた。そばまでくると、マコに声をかけた。
「マコ、考え事かい?」
側に来たのがナージャではなかったことが意外だったのでマコは少し驚いた顔をした。
「フランシス・・えーと、まあそんなところかな。」
そんなあやふやな返事をするとフランシスは、笑顔を向けた。ナージャと一緒で、フランシスの笑顔はいつも100%の笑顔だった。マコは、このまぶしい笑顔に関しては、キースは絶対フランシスに勝てないだろうと思っていた。
「まあ、君は少なからず今の状況を好いていないことは分かるよ。」
フランシスがそういうと、マコはため息をついた。
「そうね。あまりいい気分はしないわ。良かれと思ってやっているのに、私のやっていることが逆にみんなを恐怖に落としいれているみたいで。」
「実は、僕も良かれと思ってやったことが、裏目にでたことがあったんだ。」
急に意外なことを言い出したフランシスをじっとマコは見た。
「そんなに意外なことかい?」
「ええ、意外よ。フランシスにそんなことがあったなんて。だってあなたがやっていることって慈善事業でしょ?どう考えても感謝されることでしょ?」
すると、フランシスは複雑な顔をした。その顔を見て、マコはフランシスの抱えている苦しみの部分を見た気がした。
「確かに感謝はされるよ。僕が集めた寄付で助かる孤児院や人々もいた。でも中には、僕の寄付金のせいでめちゃくちゃになってしまったこともあったんだ。」
「めちゃくちゃに?」
マコは訳が分からなかった。そんな困惑しているマコを見て、フランシスは話を続けた。
「ああ。ナージャに会う前のことだよ。僕は、ミコノス島っていうところにある孤児院にいつものように集めた寄付をそこの孤児院の院長先生に渡したんだ。」
「それってとってもいいことよね。なにが悪いのよ?」
マコは不思議そうに言った。
「マコ本題はその次だよ。集めた寄付金を渡された院長はどうしたと思う?」
フランシスがマコに問いかけた。マコは、考え込んだ。しかし、ぜんぜん見当がつかない。
「院長は、その寄付金を孤児院に使わず、そのまま持ち逃げしたんだよ。」
マコは一瞬ドキッとした。そのフランシスの言葉には、後悔の念が込められている気がした。
「その後どうなったの?」
「孤児院は、経営がうまくいかず孤児院にいた子どもたちはみんなばらばらになってしまったんだ。」
マコはその事実を聞いて、なんだかやるせない気がした。
「でもそれってフランシスは悪くないわ。それに、悲しかったでしょ?せっかくの寄付がそんな形になってしまって・・。」
マコは言うと、フランシスが上を見ながら言った。
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