もう一人のドリームナージャ8(鎖の魔女編)

□第1章 銀の魔女
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夜遅く誰もが寝静まった夜、路地裏で小さな女の子たちが身を寄せ合っていた。女の子たちは、夜の寒さに震えながらボロボロになったコートに縮こまっている。どうやら、この女の子たちには、帰る家がないらしい。しかもおなかが減っているようで、おなかの音がグーっとなっている。一人の女の子が握っていたコインに目を落とす。持っていたのは、たったの1マルクだ。これでどうやって食べ物を調達したらいいのか途方にくれていた。
「おなかへったね。でも、明日から頑張らないと。」
一人の女の子が話すと、もう一人の女の子は、頷くだけだった。もう話をするだけの力もないようだった。そんなことをしているうちに女の子たちは眠気に勝てずそのまま、路地裏で寝てしまった。
あたりが静まり返ると、急に鎖のこすれ合う音がした。そこ音は、小さかったため、女の子たちは眠っていて気づかない。しかし、音はそんなことかまわずに女子たちに近づいていた。急に一人の女の子が自分の腕に違和感を感じた。なんだか重く冷たいものが巻き付いた気がしたからだ。眠気に負けそうになりながら、目を開けると、驚くことに鎖が自分の両腕だけではなく、両足にも巻き付いていた。他の女の子を見ても自分と同じように鎖が巻き付いているのを見て、怖くて悲鳴を上げた。
「キャー!」
驚いた他の女の子たちも一瞬で目を覚まし、自分たちの状態を見て気が動転している。お互い、鎖を取ろうとするが、鎖は取ろうとしてもがけばもがくほどに強く巻き付いてくる。まるで、生きているかのようんだった。
「そんなに抵抗することないじゃない?それにこれから私がいいところに連れて行ってあげるのだから。」
女性の声がどこからか聞こえてくると、鎖が動きはじめたかと思うと、なにもないはずの場所にブラックホールが現れたかと思うと、女の子たちをそこに引きずりこもうとした。
「助けてー!」
女の子たちが一斉に叫んだ。その時だった。女の子たちの頭上から銀色に光るものが降りて来た。その物体が地面に降り立って初めてそこに立っているのが自分たちとあまり年が変わらない黒髪の少女であることが分かった。違うところといえば、銀色の剣を持ち、銀の仮面をかぶっているということだろう。そして、少女は、舞い降りてすぐに女の子たちの鎖を剣で何本もすごいスピードで切っていった。鎖は不思議なことに切られるとはじけるようにして消えていく。
「エーイ!」
全ての鎖を切ったと思った瞬間今度は、ブラックホールから何本の鎖が伸びて来た。その鎖は、また女の子たちを捉えようとしていた。少女は、また身をひるがえして剣で切っていく。
「もういい加減にしなさい。」
そういうと、少女が持つ剣が光出して、剣をふりおろした。すると、鎖があっというまに消えてなくなると同時に地獄へいざなうかごとく開いていたブラックホールも閉じた。
「ふう・・・これでよしっと。」
そういって少女が向き直ると、女の子たちは得体のしれないものを見るかのように見たかと思うと、ものすごい勢いで叫びながら逃げていった。
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