もう一人のドリームナージャ7(追憶編)

□第8章 クリスタル物語
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マコが、伯爵と一緒に部屋を出ていっている間に3人は、これからのことについて話していた。
「今日は、ここで叔父さんにとめてもらうにしても、これからどうするの?」
ナージャが双子の考えを聞きたくて問いかけた。
「とりあえず、兄さんも僕も、叔父さんに馬をもらってドイツにそのまま向かおうと考えているんだ。ドイツについてからは、マコ次第だし・・・。」
フランシスが答えた。キースのその考えに同意していた。
「マコは、ドイツのどこに行くかまでは確かに私たちに話してないわね。もっとも、マコ自身がどこに行くのか分からないのかもしれないけど。」
ナージャも、今後の行き先の不透明さに少し不安を感じていた。マコは確かにドイツに行くかなくちゃいけないとは言っていたが、具体的な場所についてははっきり3人に伝えていない。それに、ドイツに帰ることは、マコにとってつらい過去と向き合うことになる。そう考えると、ナージャはマコが今この時も不安なのではないかと思っていた。
「まあ、でもマコが行くところに私は行くし、クリスタルのことは分からないことが多いけど、力になれるならいつでも力を貸そうと思っているのよ。どんなことが有ってもマコを一人にしないつもりだもの。」
ナージャが、決意を込めて言った。その強い決意を聞いて双子は頼もしささえ感じていた。ナージャは、いつも光のような存在だった。どんなつらい状況だって、彼女は立ち向かっていた。実際、母親探しの旅の時は、その意志の強さに心打たれたことが何度もあった。
「君は、いつも一生懸命だな。」
キースがナージャに言った。
「え?」
「兄さんの言う通りだね。君は、ほんとうにいつも一生懸命なんだ。誰に対しても・・・でも、あんまりにも、一生懸命すぎて、ときどき一人で突き進んでしまうから見ているこっちはとても心配になるんだけどね。」
フランシスが微笑みながら言った。ナージャは、少し顔が赤くなった。
「えーと、私気づかなかったわ。あまり意識していなかったから・・・。」
「だろうな。まあ、ナージャは少しおせっかいなところがあるからな。それに加えて人が良すぎるからな。」
キースが、ナージャを見ながら言った。その顔は、ちょっと意地悪な笑みを浮かべている。
「どーいう意味よ?キース。」
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