もう一人のドリームナージャ15(マザーローズ編)

□第9章 ナージャの思い
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『マコ・・どこにいるの?』
突然マコの頭の中にききなれた声が響いた。マコは、驚き声の主を探そうとする。
(今のはいったいだれ?なんで私を呼んでいるの・・とても悲しそうな声で。)
マコは目の前にいるキースを追いかけるのをやめて頭の中に響いている声に対して意識を集中させた。



『マコ・・どこにいるの?返事して!』
またマコの頭の中で声がする。マコはその声にどうにかして答えないといけないと思い、心の中で強く言った。
『私は、ここにいるわ。私を呼ぶあなたはいったい?』
『マコ!私よ・・・ナージャよ。』
ナージャと名乗った少女の声は、喜びにあふれていた。
『ナ・・ナージャ?』
マコは戸惑った。確かにナージャと言う名前に聞き覚えが少しあった。しかし、それがどういう人物で、自分とどんな関係がある人物なのかまったく分からなかったからだ。
『マコ・・私のことが分からないの?』
ナージャの声には驚きが混じっていた。
『・・・・。』
一方のマコはどう答えていいのか分からなかった。今ここで分からないと正直に答えてしまったら、彼女に悲しみが襲うような気がしたからだ。
『マコ・・・。私は、今フランシスとアメリアさんと一緒にあなたが帰ってくるのを待っているのよ!』
『私が・・・帰る?』
『ええ。そうよ。マコ・・私は絶対あなたがこっちに帰ってくることを信じているわ。だから、マコもあきらめないでね。』
『あきらめない?いったい何のこと?それに私の帰る場所は・・ここじゃないの?』
マコはナージャの声に問いかける。
『そうよ。マコの居場所は今いるところじゃないのよ。だから、待っててね・・絶対助けるから。』
ナージャの声がだんだん聞き取れなくなってきて、マコはとてつもない不安に駆られる。
「待って、ナージャ!」
マコは大声で叫んだ。
すると、マコの声を聴いてキースは、振り返った。キースは、マコが自分を追いかけてくるものだと思い、そのままのペースで泳いでいた。そのせいか、マコとの距離ができていることに気づかなかった。キースは、マコのいるところまで急いで戻った。すると、マコは悲しげな顔をしていた。
「マコレット?」
マコはキースの方を見た。その目には涙がたまっている。
「ご・ごめんなさい。私なんだか変な声が聞こえたみたいで・・・。」
マコは涙をぬぐった。
「変な声?」
「ええ、なんとなく昔聞いたことがあるような声だったから・・・おかしいよね?今ここには私とキースしかいないのに。」
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