もう一人のドリームナージャ15(マザーローズ編)

□第8章 母親の不安
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「自分らしく?」
「これはあくまで私が見ていた範囲での感想だけどね。」
「?」
首を傾げるフランシス。
「それよりも、あなたの本当の言葉を聞きたいわ。」
「え?」
「さっき、ナージャさんに言っていたことすべてが本当ではないでしょ?」
アメリアが微笑みながら言った。
「僕だって母さんがよみがえったことは、うれしい・・。できることなら今まで一緒に過ごせなかった時間を過ごしたいと思う。だけど・・ナージャとマコのことを考えるとそれではだめだと思うんだ。」
「どうして?」
「僕は、ナージャの幸せを一番に考えているから。彼女が幸せになるためには双子の妹であるマコが必要だと思う。やっと出会えた姉妹だから。それに彼女たちが失った時間は、僕と兄さんが母さんといた時間以上に失った意味が大きいと思うんだ。」
「そうね・・・。フランシスは、ナージャさんのことを本当に愛しているのね。」
アメリアから言われて珍しく体が熱くなる感じがした。
「そうだね。僕は、彼女を心の底から愛している。彼女無しの未来なんて考えられないくらいに。」
それを聞いてアメリアが頷いた。
「あなたがそのくらい思っているなら私も安心したわ。心残りと言えば、結婚式を見られないことくらいかしら?」
「母さん!」
「ごめんなさいね。つい。」
アメリアが微笑んだ。
「あとは、キースだけね。」
「え?」
「私の提案には、デイルの協力だけではなく、キースの力も必要だから。正直デイルとこのナイト・ジュエルの力だけでは、救い出せないのよ・・マコレットを。」
「じゃあなんでさっきは?」
「私は信じているからよ・・・キースのことを・・。」
「兄さんのことを?」
「ええ。私はあなたたちの母親としてキースを信じているの。きっとキースがマコレットに対しての思いは、あなたがナージャに対して思っている思いと同じくらい強いと思っているから・・。でも・・。」
「でも?」
「愛する娘を前にした父親にあの子の思いが勝るのか・・少し不安ではあるけどね・・・。」
アメリアが紅茶を見ながら言った。一方のフランシスは、何を言っているのか理解出来なかった。
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