もう一人のドリームナージャ15(マザーローズ編)

□第8章 母親の不安
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「ナージャ・・・。」
俯くフランシス。
「フランシス、ちょっと私の話に付き合ってくれるかしら?」
アメリアがフランシスに向かって言った。




フランシスは、紅茶を入れて自分の母親がいるテーブルの上に置いた。
「ありがとう、フランシス。」
アメリアはそう言うと、紅茶の香りをかいだ。
「いい匂いね。キースはアールグレイが好きだったわね。」
そう言うと、アメリアは紅茶を飲んだ。
「ああ、そうだったね。兄さんはあまり紅茶を飲まなかったけど、アールグレイは飲んでいたよ。もっとも、自分じゃ紅茶入れない人だったから、キッチンに置いてあったのには少し驚いたけどね。」
フランシスも自分の分の紅茶を少し飲んだ。
「そうね・・こうしてあなたたちのことを話していると小さかった時のことを思い出すわ。キースは、やんちゃだったから私は目を離せなかったわ。フランシスは負けず嫌いで、キースに負けないように乗馬の練習をしていたわ。」
「そうだったね。兄さんは僕と違って大抵のことは1回でできてしまっていたからね。兄さんに負けないように何度も練習したよ。」
それを聞いたアメリアは微笑んだ。
「本当にあなたたちは仲のいい兄弟だったわね。」
「うーん、仲の良さで言えば彼女たちには負けてしまうよ。それに僕と兄さんは兄弟というよりもライバルみたいなところがあったから。」
「そうね・・。あなたたちがあの子を好きになったのが分かる気がするわ。」
フランシスは、その言葉を聞いてムセそうになった。
「え?」
「ナージャさん。とってもいい子ね・・誰に対しても一生懸命で、優しくて・・かわいい子ね。」
「ああ。誰に対しても一生懸命で、優しくて・・・。あまりに一生懸命になりすぎてしまって、大丈夫かなって心配になることがあるけど・・。」
「そこがかわいいのね?」
フランシスは、頷く。
「彼女が、僕のことを好きだと言ったときは、正直信じられなかった。僕は、兄さんを選ぶんじゃないかと思っていたから。」
フランシスが本音を言った。
「そうかしら?」
「え?」
「あの子があなたを選んだ理由なんとなく私は分かる気がするわ。」
アメリアからの言葉を聞いてキョトンとするフランシス。
「なんとなくだけど、キースといるときよりもあの子はあなたといる時のほうが、自分らしくいられると思ったのかもしれないわね。」
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