もう一人のドリームナージャ15(マザーローズ編)

□第1章 再会
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「・・・それは・・・いったい・・・。僕は、君のために・・・君の幸せな人生を再び与えるために・・・。」
デイルが震える声で、いかに自分がやったことが正当なことなのかをアメリアに説明しようとする。
「デイル・・・。私は、幸せだったわ・・。十分・・・フランシスとキースの母親として、そして、一人の人間として人生を全うできたことを・・・。」
アメリアがデイルに向かって静かに話す。
「嘘だ・・そんなことない!君は、不幸だったはずだ!」
「デイル・・・。」
「貴族という檻に入れられて、好きでもない男と結婚して・・・好きなノブレスオブリッチだって満足にできなくて・・・それなのに・・それなのに・・・幸せだったっていうのかい?」
デイルが叫びながら言った。
「ええ、幸せだったわ。だから、デイルあなたの考え方や見方は間違っているわ。」
アメリアの答えを聞いてデイルは体の力が抜けてしまい、ぱたりと座り込んでしまう。
「そんな・・そんな・・・ことって・・・。」
デイルは、目から涙をこぼしていた。
(僕がやってきたことは間違っていた・・・そんなこと・・・いいや違う・・でも、アメリアは・・。)
「デイル・・もうこんなことはやめましょう。そして、あるべき姿に戻すためにあなたに力を貸してほしいわ。」
アメリアがデイルに微笑む。
「ははははははは!」
突然デイルが笑い出した。フランシスは、デイルは狂ってしまったととっさに思い、母親のアメリアを守りに入る。しかし、デイルの標的アメリアでもなければフランシスでもなかったそう・・・。デイルは、再びシャドウジュエルを拾いなおすと、ナージャの腕をつかみ再び影を呼んだ。
「きゃ!」
ナージャが小さく叫ぶ。
「ナージャ!」
フランシスが、ナージャに駆け寄ろうとする。
「動くな!」
デイルは、フランシスに怒鳴る。その間にもナージャの体に影が巻き付き、首を締め上げようとする。
「この女がどうなってもいいのか?」
デイルが、脅すように言うと影がナージャをさらに強く締め上げた。
「ああ・・ああ・・苦し・・い。」
ナージャの悲痛な声が響く。
「やめろ!」
フランシスが叫ぶ。
「ははは、さあ、やめてほしいなら・・アメリア・・僕と一緒に来るんだ。」
デイルの目線はアメリアに向く。一方のフランシスは、恋人と自分の母親を交互に見る。
(ナージャにもしものことがあったら・・・でも、母さんをこのままデイルに・・・。)
「フランシス!」
「え?」
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