もう一人のドリームナージャ13(大英博物館編)

□第5章 首飾り
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「兄さん、マコを外に出した方がいい。」
フランシスが、キースに言うと、キースは頷きマコの体を抱きかかえようとする。すると、急にマコが俯き、静かになった。
「マコレット、大丈夫か?」
「・・・・・。」
キースの問いかけにマコは無言だった。不審に思ったキースがマコの肩を触ろうとした時だった。すごい勢いでマコがキースの手を払った。急な出来事に周囲にいたナージャやフランシス、クリスチャンも驚いている。すると、マコが突然笑い出す。
『ふふふふ、私の呪いにお前はすでにかかっている。この呪いから逃れられない。』
マコが大声で、狂ったかのような表情を見せたので周囲が唖然としている。その中でも、キースは、いつものマコではないことを気づき、マコの動きを止めようと再び掴みかかる。その時、キースはマコの瞳がいつもの空の色ではなく、漆黒の黒曜石を思わせる黒に染まっていたことに気が付いた。
『童に逆らうというのか、若僧が!』
マコがそう叫ぶと、クレオパトラの首飾りが展示されているあたりから虹色の光がキースめがけて飛んできた。キースは、その光線の速さをよけきることができず、もろに食らってしまった。彼は、床に打ち付けられてしまった。
「キース!」
ナージャの叫び声が響き渡った。
『昨晩は邪魔をしてくれたが、今回はお前に邪魔はさせん!』
そう言うと、急にマコはクレオパトラの首飾りの方にかけて行ったかと思うと、ナイト・ジュエルと取り出し、銀の剣に変え、防弾ガラスをたたき割った。防弾ガラスが無残にも粉々になってからマコは、中に入っていたクレオパトラの首飾りをもぎ取った。周囲にいた客たちは唖然としている。
『ははは、これで二つのクリスタルは私の物だ。これでもう一度世界を我が王家の物に!』
首飾りをまじまじと見つめながらマコが言い放つ。その姿を見ていたナージャは、マコ急変に驚きながらも、これはマコ自身がやっていることではないと思い、マコのいるところまでかけて行く。フランシスがそれを止めようとしたが、ナージャはフランシスを振り切りマコのもとに駆け寄る。
「あなたは、マコじゃないわね。マコになにをしたの!」
ナージャが睨みながら言い放つ。
『ふん、小娘がいい気になりおって!』
マコが銀の剣をナージャに向ける。ナージャは、銀の剣を向けられても、ひるまなかった。むしろ、じっとマコの姿を見つめている。
『ほう、大した勇気だ。』
マコが見下した目でナージャを見る。
「私は、負けないわ!」
『お前のような奴は、初めて見た。なら、ここで死なせてやろう。』
マコが銀の剣を構えたときだった。突然マコとナージャの前に警察官と警備員が大勢現れ、マコに銃口を向けている。
「警察だ!もうお前は、なにもできない!大人しく、その剣を床に置くんだ。」
警察官が叫ぶと、マコは舌打ちをした。
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