もう一人のドリームナージャ13(大英博物館編)

□第2章 不安
3ページ/3ページ


「あっそうだ!折角ロンドンに来たんだから、大英博物館に行きましょうよ。」
ナージャが提案した。
「えー博物館!」
マコはあまり乗り気ではないような発言をする。
「マコは、博物館の素晴らしさを知らないからそんなことを言うのよ。」
確かにマコは、博物館にはあまり興味がなかったし、行ったこともなかった。
「ナージャ、私たちは先を急がないといけないのよ。そんな悠長なことはやっていられないわ。」
マコはもっともなことを言ったが、そこにキースがマコに向かって言った。
「マコレット、そんなに焦って次のことに向かっても空回りするだけだろ?第一、ここんところお前は、気を張り詰めすぎていないか?」
マコは、キースに指摘されたことが当たっていたのでドキッとした。
(キースってなんでそんなことが分かるのよ。)
「別に空回りなんてしてないわよ。私はただ・・・デイルのことが気がかりなだけよ。」
マコがデイルの名前を出すとナージャは黙り込んでしまった。見かねたフランシスとキースが言った。
「確かに気がかりではあるが、まだハーコート邸に着くのは先だ。それに少し気分転換をしたらどうだ?」
「兄さんの言う通りだよ。昨日まで気持ちを張り詰めた空気の中で過ごしていたんだからね。少し、気分転換したほうがいいと思うよ。」
フランシスとキースが、マコの緊張感を解くため言った。ここ数日のマコは、豪華客船の事件もあってか気を張り詰めていた。その証拠に最近では貧乏ゆすりをしたり、考え事する時間が増えていることにフランシスとキースは気づいていた。
「うーん、フランシスとキースがそこまで言うなら、気分転換に行ってもいいかな。」
二人の説得によってマコはようやく提案を飲んだのだった。
「じゃあ、明日にでも大英博物館にみんなで行きましょう。きっと楽しいわよ。」
ナージャは、飛び切りの笑顔で言った。しかし、マコはなんとなく、不安な気持ちでいっぱいだった。それは、なんであるのか分からなかったが、不安が募るたびに自分が3人を危険に巻き込んでしまうんじゃないかと思った。
(はあ、なんだかすごく不安だわ。何もなければいいけど。)
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ