もう一人のドリームナージャ11(ロマンス編)

□第8章 ロマンチック
5ページ/5ページ


「いいなあ、私も恋をするんだったらあんな恋をしてみたいな。」
マコが二人を見ながら言った矢先、フランシスとマコのところに現れた人物にフランシスは、一瞬固まった。その人物は、メリーアンとアーサーの恋模様とマコが今言った言葉を聞いていたようでニヤリと笑った。
一方のフランシスは、マコに早くその人物がいることを気づかせようと声をかけようとした。しかしその人物に制止させられてしまった。
「どんな恋をしたいんだい?」
その人物はフランシスのような口ぶりで聞いた。
「だから、あんな風にロマンチックな恋をしたいって言って・・・。」
マコはフランシスのいる方を振り向いた。しかし、その瞬間マコは固まってしまった。それもそのはずだ。マコに問いかけた人物は・・・まさかまさかのマコが好きな男性・・・キースだったからだ。
「キー・・・。」
キースが急いでマコの口を自分の手でふさいだ。
「へえ、人のキスシーンを見る趣味がお前にあったとはな・・・マコレット。それに、そんなにロマンチックな恋がしたいなら俺が相手してやってもいいんだがな。」
意地悪くキースがマコに言った。すると、みるみるうちにマコの顔が真っ赤になった。それを見ていたフランシスは、呆れて言葉が出ない。
(キースも正直じゃないな。好きなら彼女に正直に言えばいいのに・・・いつも遠まわしで、しかも上から目線だからなあ。)
「結構です。それに冗談じゃないわ。キースにはナージャがいるでしょ。そう言うのは恋人同士でやってください。」
マコはキースの手をどかしてそう言うと、怒ってそのまま一人で歩いて行ってしまった。
「はあ、兄さん・・いい加減にマコに言ったらどうだい?」
フランシスがキースに言った。すると、キースの顔が少し赤くなっていることに気づいた。
「俺としては今ので、少し気づかせようとしたんだがな。それに・・・。」
「それに?」
「お前がいる前で、マコレットに言いたくない。」
キースはフランシスに言い残してマコの後を追った。その時、フランシスは始めてキースが自分に正直な言葉を口にしたと思った。
(あのひねくれ屋のキースが、僕の前で本音をこぼすなんて・・・なんだかおかしいけど、それだけマコレットに本気なんだな。)
フランシスは、ふとメリーアンの方をチラッと見た。
(どうやら大丈夫そうだ。幸せになって・・・メリーアン。)
心の中で沿い言い残すと、フランシスもキースとマコの後を追った。
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ