もう一人のドリームナージャ10(ブラックバレンタイン編)

□第18章 本当の思い
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「驚くことか?第一、お前はナージャやフランシス、世話になっている人全員にそれぞれ曲を送ったって感謝しくれないくらいだと思うがな。」
やはりキースも素直になりきれない。本当は自分のためだけの曲をマコにつくってほしかったのに。素直になり切れないためにこんなことを言っていしまった。こんな時自分がフランシスだったらいいのになと思った。フランシスなら自分の気持ちをいうも素直に言える。しかし、自分は思っていることの半分もいつも言えないでいた。
「な・・なんだ・・・そういうことか・・・。それならOKよ。」
マコの返答のそれならっていう部分が少し気に触ったがキースは気にしないようにしようと思った。
「それより、マコレット・・・今度はモンマルトル・ジャーナルの記者としてお前から独占インタビューをしたんだが・・・いいか?」
キースの思わぬ提案にマコはニコッと笑った。
「じゃあ、特別にモンマルトル・ジャーナルの記事にのってあげるわ。」
いつものマコらしい言い回しでキースに言った。


数日後、マコはモンマルトル・ジャーナルの記事のトップを飾っている。そのせいでウィリアムに対しての扱いがなんとなく小さく感じた。でも、マコには分かったこれがキースのウィリアム対してもせめてもの心遣いなんだと。
「すごいわ。マコ!トップ記事よ。やっぱりマコはダンデライオン一座がほこる夢と希望のピアニストね。」
「ナージャ大げさよ。」
マコは苦笑しながら言った。
「でも、あのコンクールの後音楽界の君への反応はすごかったね。一部の人からは、君は1000年に一度の逸材だって言っていたからね。」
フランシスがマコに言った。マコはその言葉に照れくさそうに頭をかいている。
「浮かれていると、足元救われるぞ。だいたい一部からの意見をうのみにするな。」
キースは相変わらず厳しい意見だ。
「キースも少しはマコのことを褒めてあげたらいいのに。」
ナージャが言うとキースは黙ったままだった。
「まあ、兄さんのことは気にしないほうがいいよ。前にも言ったけど素直じゃないだけだから。」
「フランシス!」
キースがにらむ。だけど、マコはそんなことぜんぜん気にしていない。
(私は、自分のピアノや曲についてどう評価されてもいいわ。ただここにいる3人に認められればそれで!)
「ねえ、マコ!」
「!」
「今度、私のダンスの曲を作曲して欲しいわ。前からお願いしようと思っていたんだけど・・・。」
「任せて、ナージャのためならなんなりと。キースには作ってあげないけど!」
マコはキースを横目で見た。しかし、キースは特に羨ましそうな顔をしていなかった。この時、もうすでにキースは気づいていた。あの曲の真意を・・・。
(マコレット、お前は気づいていないかもしれないが、俺はあの曲の意味がなんとなく誰に対して作った者なのか分かっている。だから他の人にお前が曲を作っても嫉妬しないさ。)
キースは、マコが笑っている姿をまぶしそうにみつめていた。



〜続く〜
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