もう一人のドリームナージャ10(ブラックバレンタイン編)

□第9章 黒バラの思い
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しかし、ナージャは意を決してキースに聞いた。
「キース、私が聞きたいことは・・・あなたがマコレットのことが好きかどうかよ。」
ナージャははっきり言い放った。キースは、やれやれと言った感じでもっていたティーカップをテーブルの上に置いた。
「ナージャは、いつから気づいていたんだ?」
キースがナージャに直接的には答えないで遠まわしに答えた。
「いつって・・・さっき、ウィリアムが言っていたのよ。キースがマコに気があるみたいだって。」
キースは、少し苦笑した。
(やっぱりナージャだな。自分からこんなことに気づくわけないか。彼女はこういうことにちょっと鈍感だからな。)
「なるほどな。で・・君は、このことを知ってショックだったのかい?」
キースがニヤリと笑いながら言った。
「そういうわけじゃないわ。ただ・・・。」
「ただ?」
「もし、そうだったら素敵だなって思ったのよ。」
その答えにキースはおかしくて笑ってしまった。
「キース‼私は、まじめに言ったのよ。」
「すまない。ただ、ナージャらしいなと思ったんだ。まあ、少し焼きもちでも焼くかとおもったんだが。」
その答えにナージャが少し不機嫌そうな顔をする。しかし、その顔もキースにとっては愛らしいものでしかなかった。
「別にナージャを嫌いになった訳じゃない。むしろ、今でもその逆だ。ただ、俺の中でナージャ以上にあいつの存在が大きくなったんだ。」
キースが正直にナージャに伝えた。キースが珍しくナージャに正直な気持ちを伝えてくるので、なんだか新鮮だった。
「私ね、キースのこともマコのことも、大切に思っているの。それに・・・。」
「それに?」
「なんとなくだけど、キースとマコって似ているのよね。私のことをからかったり、強い信念があったり、それにどんな危険にも立ち向かっていくところなんかもね。キースならマコのことを幸せにできるんじゃないかなって思ったんだ。」
「ナージャ・・・。」
キースは、ナージャの思いを聞いて優しい目で彼女を見た。
「私、わたし・・キースのこと応援しているから‼」
ナージャにそんなことを言われてキースは、内心照れ臭かった。
(ナージャに言われるとはな・・。)
しかし、照れてばかりでいないのがキースだ。今度は、意地悪くナージャに笑ってみせてから言った。
「ナージャ、俺を誰だと思っているんだ!」
「え?」
「俺は、怪盗黒バラだ。絶対に俺は、マコレットの心を盗んでやるさ。」
キースがナージャに言った。それを聞いたナージャは、キースらしいなと思った。
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