もう一人のドリームナージャ10(ブラックバレンタイン編)

□第8章 結ばれた同盟
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キースがフランシスに問いかける。
「どうするって?」
「ジョンは、このことを知らない。その他のコンクールに出場するピアニストもだ。もし、仮にあいつがコンクールで最高の賞を取ったらジョンや他のやつらは報われないだろ。」
「ああ。そうなるね。本人の力じゃないんだから。」
フランシスが考え込むとキースが言った。
「いっそばらすほうが俺はいいと思うがお前はどう思う?」
「!」
フランシスは、キースが大胆なことを言うので少し思考が停止した。しかし、キースがやろうとしていることは間違っていない。むしろ、そのほうがみんなのためになる。でも・・・。
「でも、キース・・・証拠がない。」
「確かに証拠がない・・・だが、マコレットが協力すれば話は変わってくる。そう、あいつが証言すれば信憑性も増す。それにいままでウィリアムの名前で発表していた曲がマコレットになる。」
フランシスが、この時キースの本当の目的がなんであるか分かった。そう、キースは、マコレットのためにウィリアムの行っていたことを世間に公表しようとしている。
「兄さんは、マコレットのために・・・。」
「ああ。じゃないと、あいつが浮かばれないだろ。それにおまえだってジョンが嫌な思いをするのは・・。」
「もちろん、嫌だね。」
そういうと、キースがフランシスの方に向かってニヤリと笑いかける。
「どうやら俺と珍しく意見が一致したみたいだな。まあ、お互い目的は違うがな。」
「ああ、そうだね。」
その時キースとフランシスは手を組むことになった。フランシスは、ジョンのためにキースは、マコレットのために真実を白日のもとにさらすことを。
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