もう一人のドリームナージャ10(ブラックバレンタイン編)

□第8章 結ばれた同盟
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帰ってくるなり自分に変な質問をするので、フランシスはちょっと不思議そうにキースを見た。
「どうしたんだい。キース?急に僕にそんなことを聞くなんて。」
フランシスが言うと、キースもそれもそうかと思い言った。
「いや、なんとなくだが、胸騒ぎがしたんだ。」
キースが自分の勘についてフランシスに言う。
「胸騒ぎ?」
「ああ、別になにもなければいいが・・・。」
キースはフランシスの反応を見て特になにがあったわけではないのだと思った。
(俺の勘違いか・・・。まあ、特にこれと言ってなければ別にかまわないが。)
「それより、マコを横取りしたって本当かい?」
フランシスから突然問いかけられた質問に一瞬ドキッとした。しかし、キースはそんなことを勘づかれないように冷静を装った。
「横取りというのは、言葉が悪いな。正確にはマコレットをウィリアムとかいうインチキピアニストから助けたんだ。まあ、あちらから見ればそうとらえられても半ば仕方がないがな。」
キースが言うと、フランシスは首をかしげる。
「助けた?」
「ああ、あいつがマコレットが嫌がっているのに近づいていたからな。」
キースが言うとフランシスがまだ納得していないような顔をする。
「ウィリアムをマコが嫌がる理由が僕には分からないな。確か彼女は、ウィリアムに会ったときにはそんなそぶりはなかったよ。」
フランシスはキースに伝える内容を少し修正しながら言った。実際には、恋人同士に見えたなんてことは言えなかったからだ。
「へえ、その時はあいつもまだ分からなかったわけだ。まあ、もうマコレットは、あいつには会わないだろうから大丈夫だと思うがな。」
キースが自分で紅茶を入れながら言った。その言葉にフランシスは、疑問に思いキースに聞いた。
「もう会わないってどういうことだい?」
「・・・その方がお互いのためだからだ。まあ、詳しく知りたいなら話すが、少し長くなるぞ。」
キースは、マコがエルザと別れてからどういきてきたのかをフランシスに簡単に説明した。それを聞いたフランシスは、目を見開いた。
「それじゃあ、彼が天才だって言われているのは・・・。」
「マコレットのおかげだな。それと、真の天才は、マコレットってことが分かった。」
キースがマコとナージャがいる部屋の方を見ながら紅茶を飲んだ。フランシスは、驚きしばらく考えてから声を出した。
「それじゃあ、今回のコンクールに出す彼の曲ももしかして・・・。」
「ああ、そのもしかしてみたいだぞ。マコレットも、ショックだったみたいだな。」
フランシスは、その言葉を聞いて言葉を失った。まさかジョンがライバルだと思っていた相手が不正をしていたなんてあまり信じたくはなかったし、それを知ったらかなりのスキャンダルになるだろと思った。
「どうするんだ?」
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