もう一人のドリームナージャ10(ブラックバレンタイン編)

□第7章 愛の形
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「へえ、お前にはそんな力があるのか・・・面白い。これを使えば、マコレットを僕の物にできる。」
そう言うとますます悪魔のような笑みを浮かべた。




突然マコの背中に寒気がした。あまりにぞくっとしたので表情が固まってしまった。その様子に一緒に食事を摂っていたキースが気づいて、マコに声をかけた。
「どうした?」
マコはキースの問いかけに答えるのみちょっとだけ間を置いてから言った。
「なんでもない。」
マコは首を横にふりながら笑顔で言った。そして、ティーカップを手に取って紅茶を一口飲んだ。しかし、キースは少し心配になってまた声を出そうとした。
「だから、大丈夫よ。だいたい、キースはちょっと気を使い過ぎよ。」
マコはキースが声を出す前に言った。それを聞いたキースは、少し考えてから言った。
「気は使ってない。ただ俺は、マコレットはいつも俺たちに気を使っていわないから、少しでもなにかあったら言ってほしいと思ったんだ。俺は、いつだってお前の力になりたいんだからな。」
キースが真剣な顔をしてマコレットに言った。その言葉を聞いたマコレットの心臓の鼓動が早くなった。
「キースってどうして・・・そんなに私に優しくするの?」
マコレットはキースに思い切って問いかけた。すると、キースの目が急に優しくなった。
「それは俺が、おまえのことを・・・。」
とキースが肝心な言葉を言おうとした時急に人影がマコとキースの間に現れた。
「やあ、マコレット。こんなところでキースと食事をしていたなんて思わなかったよ。」
金髪で黒い瞳の青年がマコの方に笑顔を向けながら言った。
「ダレン!」
マコはびっくりして大声を出してしまった。一方のキースは、持っていたティーカップの持ち手が壊れてしまうんじゃないかと思うほどに力強く握った。そして、ダレンを思いっきりにらみつけた。その鬼のような形相には、ダレンは目もくれずマコに話しかける。
「ちょうどここら辺を通りかかった時に君の姿を見かけたんだ。僕も一緒に食事をしてもいいかな?」
ダレンがマコだけに向かって聞いた。
「ええ、別にかまないわよ。二人より三人の方が食事もおいしいし。」
マコはダレンに言った。それを聞いたダレンは、心の中でガッツポーズをし、キースは今にも切れそうになっていた。
「じゃあ、ここに座るよ。」
ダレンがちょうどキースとマコの間に座った。
(あいつ俺に断りもなしに!だが、こんなところで感情に流されて沈む俺ではない。)
キースは、ダレンに笑顔を向ける。
「ところで、俺とマコレットがここにいることがよく分かったな。」
キースが不気味なほどの笑顔を向けて来たので、ダレンは動揺した。
(なんだこいつ俺にこんな笑顔を向けやがって。だいたい、このあたりをしらみつぶしに見てやっとマコレットをみつけただなんて言えるかよ。)
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