もう一人のドリームナージャ10(ブラックバレンタイン編)

□第7章 愛の形
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(キースが・・・マコレットを・・・?)
「それはともかく、君は双子だったんだね。」
フランシスの方を見て言った。
「ああ、僕は弟で、キースは兄なんだ。」
「へえ。で君がマコレットが言っていたナージャかい?」
ナージャのほうにウィリアムの目が向く。
「ええ。」
「ふーん。君って、彼女のことをどう思っているの?」
ウィリアムの急な質問にナージャは少し驚いた。
「どうって・・・親友だと思っているわ。マコだって私のことをそう思っているわ。」
「へえ、僕よりも短い時間を過ごしているのに君のことを嬉しそうに話していたよ。」
ウィリアムが冷たい目でナージャを見る。その瞳に嫉妬のようなものをフランシスは感じた。
「できれば今度彼女との旅について聞かせてくれないかな?」
「え?」
ナージャがその問いかけに少し疑問をなんとなく感じた。フランシスも、なんとなくではあるがなんだかいやな感じがした。
「ウィリアム・・・それはまた今度でいいかな。ナージャは、今日は疲れているんだし・・ね、ナージャ?」
フランシスの声掛けにナージャは一瞬迷った。実際は、全然疲れていなかったからだ。でも、フランシスがそう言ってほしいというのがナージャには伝わった。
「え・・ええ。そうね。また今度。」
「分かった。じゃあ、また今度話してくれ。」
そう言うと、ウィリアムは離れて行った。
しばらくしてからナージャがフランシスの方を見る。
「どうしてあんなことを言ったの?」
フランシスにナージャが問いかける。
「なんとなく、彼から嫉妬のようなものを感じたからだよ。」
「嫉妬?」
ナージャが意味不明だと言わんばかりの顔をする。
(確かに君にとってあまりなじみのない感情の一つだね。僕は、けっこうこの感情に苦しんだけど。)
「ああ。彼は、マコレットと君の関係がおそらく羨ましいんだよ。」
「えー。どうして?」
「だって、君たち仲がいいだろ。」
「じゃあ、フランシスは、嫉妬しているの?マコレットに?」
ナージャが唐突なことを言うので一瞬ドキッとした。たぶん彼女なりの思考だとは思ったが。
「僕は、嫉妬なんてしてないよ。だって君たちは親友同士だろ。それに僕に対しての君の気持ちはよく知っているから・・・今更嫉妬なんてしないよ。」
フランシスが言った。すると、ナージャの顔が赤くなった。それを見たフランシスは、ナージャに微笑んだ。その光景を遠くから見ていたジョンは、二人の姿が恋人同士に見えた。
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