もう一人のドリームナージャ10(ブラックバレンタイン編)

□第6章 ミューズ
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そういうと、ウィリアムは、マコの肩を抱きながら4人から離れて行った。
それを見ていたナージャ以外の3人の頭の上にははてなマークがいくつも浮いていた。
「いったいどういうことなんだ?なんでウィリアムとマコレットが・・・あんな関係なんだ?」
突然現れた恋敵がまさか自分の友人だったことにショックを隠せないダレンの横で、フランシスも内心混乱していた。
(兄さんは、今どこにいるんだろう?恋のライバルは、ダレンだけじゃないことを知らせるべきかな。それにもしかしたらダレンより彼の方が厄介かもしれない。)
一方のナージャは、マコの恋人らしい人物にまた会えることができてよかったと思っていた。




そんな他の人たちの不安と期待をよそに二人はあるお店に入った。雰囲気がとてもいいお店で、店内にいるのもなんだかカップルが多い気がした。
「ウィル・・あの私、お金持ってないんだけど。」
「そんなこと気にしないでいいよ。僕が払うから。」
優しい目に見つめられてマコはなんだかドギマギしてしまった。そして、ウィリアムにエスコートされて、席に座った。
「好きなものを注文してくれ。」
ウィリアムが言うと、マコはメニューを開き自分の食べたいメニューについて言った。すると、ウィリアムは、マコの食べたいものをマコの代わりに注文をしてくれた。その姿は、紳士そのものだった。
「さて、マコレット。君にまた会えてうれしいよ。」
「・・・えーと、私も。」
マコは内心複雑な気持ちだった。
「でも、君が突然屋敷を出て行ったことにはびっくりしたよ。もうすぐ2年くらいなるのかな。」
ウィリアムが微笑んでいる。しかし、彼の心はドロドロだった。彼はできれば一生マコレットを自分のもとにおいておこうとした。ある理由から・・・。
「・・・ごめんなさい。ちょっと私、世界をみたいなと思って・・・。だから・・・。」
マコが屋敷を出て行った理由は、そんなことではなかった。というのも、彼女もウィリアムのしていたあることを知って屋敷を出る決意をしたのだ。
「へえ・・・。世界をね・・・。で、今はその世界を見て毎日幸せかい?」
ウィリアムがマコに尋ねた。
「ええ。私は、幸せよ。旅に出たおかげでナージャとも知り合えたし・・フランシスやキース、ダレン、ダンデライオン一座のみんなにも会えたわ。」
マコは本当のことを言った。しかし、ウィリアムは内心納得いかなかった。自分のところにいたときのマコレットの笑顔より今のマコレットの笑顔の方が何十倍も輝いて見えたからだ。
「ふーん。それはよかったね。でも、僕は君がいなくなってとても寂しかったよ。君と一緒に作っていた曲を弾くたびに・・・。」
その言葉にマコはドキッとした。それは、好きだからドキドキするのではなく、ウィリアムの内面に潜んでいる悪魔になんとなく気づいたからかもしれない。
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