もう一人のドリームナージャ10(ブラックバレンタイン編)

□第4章 恋敵
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「だから、どうだっていうんだ!」
ダレンが、少し動揺しながら言った。その動揺した姿を見て、キースは、ニヤリと笑った。
「大してマコレットのことを守れない奴が、いい気になるな!」
キースがダレンに強く言った。その一言にダレンの顔が硬直する。その顔にキースは、少し満足そうな顔をする。キースの顔を見たダレンは悔しくてしかたない。
「だ・・だからって、マコレットがお前を本当に好きでいるかどうかは別問題だ。」
ダレンが反論する。その反論にキースは、一瞬考えてからある考えを持ちかけた。
「ふーん、おまえの言いたいことは良く分かった。そういえば、もうすぐバレンタインだったな。」
「ああ。それがどうした?」
ダレンがキースの問いかけに答えたる。ダレンは、キースの考えていることはなんとなくではあったが分かった。
「バレンタインの時に勝負をするか?そう、どちらがあいつに選ばれるか。」
キースは、ダレンに挑戦状を叩き付けた。
「こっちも臨むところだ。それに害虫は早いうちに駆除しとかないと、あとあと面倒だ。」
ダレンがキースに向けて言い放った言葉を聞いて、キースがニヤリと笑った。
「へえ、なるほどな。害虫ね・・・その言葉そのままお前に返すな。まあ、お前に勝ち目はないだろうがな。」
そう言うと、キースは立ち上がった。ダレンは、キースをにらむ。
「じゃあ、楽しみにしているよ。」
そのままキースはホテルのロビーを出て行った。
後に残されたダレンは頭を抱えていた。
(あいつに負けたくなくてあんなこと言ったが、マコレットが好きなのはキースだ。今のところその事実を変える手立ては俺にはない。第一、俺はあいつと違って助けられてばかりだし・・・。あーあ、どうすればいいやら。)
ダレンは、ふとテーブルに置いてあったカレンダーを見た。
(バレンタインとコンクールの日が一緒だな。あと数日しかない。その間に逆転しないと!)
ダレンが思い悩んでいると、ダレンの方に近づいてくる人影が一人いた。
「ダレン、お待たせ。」
ダレンはその声がしたほうを見る。そこには、緑色の瞳をした茶色の髪をした青年が立っていた。
「あ・・・ウィリアム。久しぶりだな。」
ダレンは思わず立ち上がってしまった。ウィリアムは、笑顔でダレンを見る。
「ダレン、ずいぶん疲れているみたいだね。さっきの金髪の青年となにかあったのかい?まさか、その友人と喧嘩でもしたのかな。」
ウィリアムがダレンに聞いた。ダレンは、そのことを聞いて少し俯いてしまった。
「別に・・・あんなやつ友人じゃない。」
「ふーん、だからあんなことを言っていたのか。話していた内容からすると恋敵かい?」
「え・・おまえもしかして聞いていたのか?」
ダレンが慌ててウィリアムに聞くと、彼はニコッと笑った。
「はあ・・。お前はなんでいつもどうでもいいことを聞いているんだ。」
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