もう一人のドリームナージャ10(ブラックバレンタイン編)

□第2章 静かな挑発
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「何がだ?」
キースが、フランシスがなんでそんなことをいうのか分からず言った。
「だって、マコは自分のことを親がどう思っていたのか知らなかったんだから。きっと、その手紙をキースに翻訳してもらって自分が、少なくとも父親に愛されていたことを知って本当にうれしかったんじゃないのかな。」
フランシスが思っていることをそのまま言った。それを聞いてキースは、確かに手紙を大まかにだけど翻訳したのをマコに聞かせた時のマコの笑顔は今まで見たどんなマコの笑顔よりも輝いていた。
「そうだな。あいつ嬉しそうだった。」
キースが小さな声でフランシスの言ったことを肯定した。
その時、マコは双子の方を振り返った。そして、キースの方に向かってかけて来た。
「もう、キースもフランシスも遅いよ。そんなんじゃあ、手紙の住所を探すの今日じゃ終わらないよ。」
マコはキースに手を掴んだ。
「分かった・・だが、そんなに急がなくても場所が消えることなんてそうそうないと思うがな。」
キースがいうと、マコは頬膨らませた。
「もう、キースなんか知らない。」
マコはそういうと、キースの手を離し、ナージャのもとに行ってしまった。
「兄さん、もっとマコに優しくしたらいいんじゃないかい?」
フランシスがキースにマコへの接し方について言うとキースは、フランシスの方を見て言った。
「別に俺としては、気を使っている方だ。それに、俺にいつも優しくいろというのは正直無理な話だ。」
屁理屈ばかり並べる兄に少しばかり子どもだなと思いながらフランシスは、苦笑した。
一方のナージャとマコは、手紙の住所を探すのにあちこちきょろきょろしている。
「ナージャ、見つからないわ。」
マコは少ししょげるとナージャは肩をたたいた。
「まだ始まったばかりよ。マコ気を落とさないで!きっと見つかるから。」
ナージャに励まされてマコは頷きまた周りをきょろきょろしていた。その時、ある壁紙が目に入った。マコは、思わず走り出した。ナージャも、マコは走り出したのを見て追いかける。
「マコ・・・どうしたの?」
マコはナージャの呼びかけに気づかず、一枚のポスターをじっと見ていた。そのポスターには、ある青年の似顔絵とピアノの絵が描かれていた。
「ウィリアム・・・まさかこんなところに。」
「マコ・・・?」
ナージャは不思議そうにマコを見た。というのもマコのその青年の絵を見る姿がどこか憧れを抱く少女のような姿に見えてならなかった。すると、今度は、馬車が走ってきて、マコの目の前で止まった。ナージャはそのことに気が付いてその馬車を見る。馬車から、金髪の青年が一人降りて来た。その姿にナージャはびっくりした。
「ダレン!」
ナージャの声を聞いてマコはダレンの方を振り向いた。その途端、ダレンはマコの手を取り手の甲にふち付けした。
「え!」
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