もう一人のドリームナージャ8(鎖の魔女編)

□第8章 黒バラの予告状
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「約束?」
ナージャが聞くとフランシスが言った。
「いつも君は、一人で危険な行動をとってしまうことがある。それは、君の勇敢なところだと思う。けど。今回は一人で行動しないと約束して欲しい。」
フランシスがそういうと、ナージャは頷いた。
「ありがとう。ナージャ。」
フランシスは、この約束をナージャが必ず守るとは、内心思わなかったが、今だけでも約束してくれているだけで、少しホッとしている自分がいた。
「そうと決まれば、マコを早く助けにいかないと!」
ナージャは、準備に取り掛かった。




そのころキースは、早朝の列車にのってある村についていた。村には、広い田畑が広がっていた。キースは、それがギャビン公爵家の土地を借りて田畑を耕していることが分かっていた。貴族は皆広い土地を持ち、そこで野菜などをつくらせていることは知っていた。
(領地はかなり広いな。ハーコート侯爵家と肩を並べている。)
そんなことを考えながら周辺の人に聞き込みを開始した。キースは村に行き、最近のギャビン公爵家の家事情を調べた。
「ギャビン夫人は、本当にいい人ですな。村に寄付することもあってな。おかげで、この間なんか役場を新しく立て直すことができたんだよ。」
村の男性がそう言った。次にキースは最近変わったことがないか尋ねた。
「最近ね。1年前にギャビン公爵がなくなって、今は夫人一人だよ。あんな良い方なのにね・・・そういえば、数年前に娘さんも亡くしているしね。」
キースは、数年前に亡くなった娘についてなにか引っかかり娘について聞いてみる。
「とってもいい子だったよ。黒髪、青い瞳のお嬢さんでさ。夫人に似て慈善事業も熱心だった。そうだな、14歳くらいの時に重い病でなくなったんだよ。」
その話を聞いて、キースはなんでギャビン夫人がマコにあんなにこだわっているのか分かった。そう、ギャビン夫人は、マコの力がほしいだけではなく、マコを自分の娘の代わりにしたいと思っていたからだと分かった。
(娘が死んだことがまだ受け入れられていないのか・・・。)
キースは、母親が死んだときのことを思い出した。自分は、8歳だったし、母親の死に立ち会えなかったのもあって、何日間も隠れて泣いていたことを思い出した。あの時も、母親が亡くなったことを受け入れられなかった。
そして、他の村人にも話を聞くと、クリスタルを手に入れた経緯もつかむことができた。
「たぶん数年以上前にギャビン夫人が、オークションで競り落としたどっかの王族の指輪を手に入れてからなんだかちょっと気味悪くかったな。うわさだけど、あの指輪はいわくつきだったらしい。なんでも、魔女の指輪だとか・・・それに持った人が不幸になるとかってうわさもあったな。実際夫人はあの指輪を手にしてから娘さんが亡くなったしね。」
キースは、その指輪について、さらに調べたところ、確かにいわくつきの指輪だった。諸説あるが、指輪を手にした人は、魔法が使えるようになるとかいうことが書かれていた。
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