もう一人のドリームナージャ3(操られた貴公子編)

□第9章 狙われた黒バラ
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そう思った瞬間銀色の光がキースを包み込んだ。すると、彼を覆っていた影が消えていくのをキースは感じた。そして、彼は自分の前にいる銀色の光を見た。
「ふー。危なかったわね。あともう少し遅かったら影の中に取り込まれていたわよ。」
そういってキースを見つめる笑顔は、月のように静かにそっと微笑む笑顔だった。
「マコレット!」
キースが驚いた顔をして言った。マコが頷くと、キースを見て言った。
「こないだの借りはこれでチャラにできるかしら?」
「ああ。もちろんだ。」
キースがマコに言った。それを見ていたデイルはくやしそうな顔をしている。
「マコレット。おまえまた僕の邪魔をしたな。なあいいさ、あとはシャドウドールに任せるとするか。今回も、君がやつらを救えるのか楽しみだよ!」
そういうと、デイルは影に覆われて姿を消した。マコは姿を消す前に追いかけようとしたが遅かった。
「あーあ、逃がしたか。」
マコが地団駄を踏んだ。キースは改めてマコの姿をよく見た。キースは自分の目を疑った。あのマコレットがドレスを着ているではないか。しかも、髪形をきちんとセットしているし、化粧もしている。それにいつものマコからは想像できないくらい彼女がきれいに見えた。
「マコレット。そのかっこうどうした?」
「ああ、これね。ちょっといろいろあって。」
とマコが剣をペンダントに戻しながら言った。キースは、改めてナージャとマコレットが似ていると感じずにはいられなかった。ナージャがドレスを着たときの姿とマコレットがドレスを着ていたときの姿に共通する点があるとしたら、どちらもその美しさから注目の的になるという点と世の男性をとりこにするだろうという点だった。
「キース、やっぱりこのドレス似合わないよね。あまいいわ、今日だけ仕方なく着ることにしたんだけど・・・やっぱり、ドレスって柄じゃないんだよね。」
キースは返す言葉に一瞬詰まってしまった。しかし、動揺を隠しながらマコレットに言った。
「そうだな。いつものほうがおまえらしいかもな。」
「やっぱりね。」
キースはあえて本音は言わなかった。自分の愛する人と同じくらいきれいな彼女に本当のことは自分の口から言い出しづらかったからだ。
その時、会場から悲鳴が聞こえた。マコとキースはその悲鳴が舞踏会から聞こえるものであると悟り、二人は部屋から飛び出し、会場に向かった。
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