もう一人のドリームナージャ3(操られた貴公子編)

□第9章 狙われた黒バラ
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「おまえ・・いったい何者だ。」
「だから言ったろ。魔法使いだって!」
デイルの無邪気な笑顔でもキースの警戒心はとかれることはなかった。デイルは、内心キースはフランシスより面倒な相手だと思っていた。キースの性格からしてファンタジーの世界の登場人物なんてまったく信じないようなたちだったからだ。
「まっ信じないならいいけど。でも、キースこれだけは君に伝えたい。僕は、君の母親を甦らせる。そのために今これを使ってパワーを集めている。」
そういうと、デイルはクリスタルを見せた。キースはクリスタルに反応したのを見てデイルが微笑んだ。
「そうさ、僕はマコレットと同じような力を持っているんだよ。そして、この力を使ってアメリアを甦らせてみせるよ。このシャドウ・ジュエルを使って。」
「シャドウ・ジュエルだと。」
デイルは、キースに計画のすべてを話すことでキースに少しでも理解してもらおうとした。
「ああそうだ。このジュエルは人の心を集めることで力が強くなる。だから今アメリアを死においやった貴族社会で生きている貴族や金持ちたちの心を根こそぎ奪い、力を集めている。力が最大限になればアメリアを甦らせることができる。どうだいキース協力する気になったかい?」
デイルはキースの反応を待った。キースは、マコレットが言っていた言葉を思い出した。もし、人を甦らせるのであれば、その代償を払わないといけないことを。そう死をもって・・・。
「デイル、代償は誰が払うんだ?」
デイルは驚いた。人を甦らせる願い事には、契約者と言えども支払う代償が高すぎることをキースは知っていからだ。
(マコレットから聞いたのか。まあいいさ。)
「代償を支払ってくれる奴なんているだろ?もっとも、その時になればいずれ誰だか分かるだろうけどね。」
意味深げな発言にキースはますますデイルが恐ろしいことを考えていると確信した。
(こいつは危険だ。母さんを甦らせるために誰かに命という代償を支払わせようとしている。)
「さあ、キース僕と手を組まないか。大丈夫きっとアメリアは甦らせてみせるよ。」
キースはデイルが差し出した手を見た。そして、その手をあの時の夢と同じように叩いた。
「断る。俺はそんなことを望んでない。」
キースがあまりにもきっぱり言うので、デイルの顔がゆがんだ。そして、さっきまでの無邪気な笑顔が消えたかと思うと、悪魔のような顔になった。
「ふーん。君は彼女をよみがえらせたくないんだね。でも、楽しかった彼女との思い出に浸れば考えが変わるはずさ。そう、良い夢を見させてあげるよ。」
そういうと、急に床がデイルの影で覆い隠された。キースは、デイルが持っているジュエルがシャドウ・ジュエルと言っていたことを思い出し、影から逃げようとする。
「無駄だよ。僕の力は夜に特に強くなる。さあ、観念するんだ、黒バラ!!あはははは!」
その瞬間影がキースの体に覆いかぶさった。キースは、影を振り払おうとするが影がどんどん覆いかぶさってくる。次第に意識が遠のいていくのをキースは感じた。
(このままあいつのいう夢の世界に連れてかれてしまうのか。)
キースは、そんなことを考えていたときにふと不思議とナージャとマコレットのことを思い出した。そう、急にあの二人の笑顔を思い出した。太陽のように眩しい笑顔、月のように静かにそっと微笑む笑顔を。
(ナージャ・・マコレット・・・。)
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