もう一人のドリームナージャ3(操られた貴公子編)

□第8章 潜入
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「あの子は気がきくな。」
キースはリタのことを褒めた。それを聞いてナージャはクスッと笑う。
「それはそうとナージャ、危険なことはしないって約束してくれないか。」
キースがナージャに歩みより言った。その青い瞳には今でも星が宿るように輝いている。
「しないわ。」
ナージャがキースにきっぱりと言う。それでもキースは心配そうな顔をする。
「キース私だってバカじゃないわ。危ないこととそうじゃないことくらい分かるわ。」
ナージャのそんな態度が逆に彼を心配させてしまうことをナージャは分かっていなかった。キースは、ため息をついて言った。
「ナージャ、今ウォール伯爵家の周囲では行方不明になる貴族が出ているという噂だ。情報が正しいとは限らないが、またあのデス・13やシャドウドールの時みたいなことがいつ起こってもおかしくない。マコレットは、自分で身を守ることができるが、ナージャ、君は違う。」
いつになくナージャに真剣な顔でキースは話を続けた。
「前回もその前も君は狙われた。今回、君が狙われないとも限らない。しかも、俺が側にいるとも限らない状況だ。だから、本当なら君に舞踏会には一緒に行ってほしくない。」
キースはナージャに本音を言った。ナージャは、キースがそこまで考えていると思ってなかったので、きょとんとしている。
「キース・・あなたの気持ちは分かったわ。でも、マコだってきっと助けを待ってるわ。それにキースはマコが自分で身を守れるっていったけど・・・私は違うと思う。」
そのナージャの一言にキースが今度はきょとんとする。
「だって、彼女本当は、いつも怖い思いと戦っているんだもの。私には分かるの。マコは、本当は騎士とかじゃなくて、一人の女の子なんだって。だから、少しでもマコの力になりたいのよ。」
キースはその発言にハッとした。確かにこの間のデス・13の件では、マコレットが本当は怖がりな面を持っていることにキースは気がついている。
(ナージャは、気づいていたのか・・・。)
「分かったよ、ナージャ。でも、無理はするなよ。」
キースはこれ以上ない優しい目で見た。
「分かったわ。約束する。」
ナージャがそういうとキースはナージャの額にキスをした。




午後7時になり、ナージャはドレスに着替えて3人を待った。そんなナージャの横に歩み寄ってきたおばばがナージャに話かけた。
「ナージャ、影が近づいているから気を付けないといけないよ。あと、薔薇の花言葉を知っているかい?」
「薔薇の花言葉?」
ナージャが首をかしげる。
(おばばは何を言いたいのかしら・・・。)
ナージャは、時々おばばが何を言いたいのか分からないときがあった。初めておばばにあったときなんかあんたは運命の女神に愛された子だと言われた。
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