もう一人のドリームナージャ3(操られた貴公子編)

□第7章 薔薇の意味
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(どうも、マコレットといると調子が狂う。)
「ありがとう。マコレット。」
ダレンは、素直な気持ちをマコに伝えた。
「よーし、調律1週間以内に終わりにしてみせるわよー。」
マコが言った。
そして、マコが調律にまたとりかかろうとした時だった。扉が開き、そこにウォール伯爵が立っていた。
「調律は順調かな?君の調律の調子が気になってね。」
伯爵がマコの調律の調子を目で確認する。伯爵は、一通り見ると満足そうな顔をした。
「君は、調律がうまいようだね。これなら今週中にはまたいい音が聞けそうだ。きっと、エリーも喜んでくれる。また、ピアノをダレンが弾いてくれると・・・。」
伯爵は、ダレンの方を見た。ダレンは、少し照れくさそうな顔をする。
「ダレンは、こう見えてもピアノがうまくてね。私なんかもうかなわないくらいだよ。」
伯爵が自慢げに息子を見ながら言った。マコは、その親子の会話を聞いてうらやなしいと思った。マコには、父親も母親もいないからだ。
「そうなんですか。じゃあ、聞かせてもらわないと。」
マコが言うとダレンは慌ててマコに言った。
「君のピアノには、かなわないよ。」
その微笑ましい光景を見た伯爵が急になにかをひらめいたかのように言った。
「そういえばマコレットさん、あなたのピアノとても上手だとダレンから聞いています。よかったら、明日の夜の舞踏会で披露してください。ぜひ私も聞きたい。」
伯爵の突然の提案に少し驚くマコの姿にダレンが言った。
「それはいい考えだ。明日の舞踏会でぜひマコレット弾いてくれないか。僕からもお願いするよ。」
ダレンも熱心にマコにお願いするため、マコは断れなかった。
「分かったわ。弾かせていただきます。」
「ならさっそく、明日のためにドレス選ばないと。お父様、マコレットはドレスを持ってきていないので、明日のためにドレスを選んでもいいですか。」
すると伯爵も笑顔でマコを見て言った。
「いいとも。エリーの使っていたドレスでいいのがあった気がするから自由に好きなのを選びなさい。」
マコは、急な話の展開でついていけてない。ダレンは、さっそくマコの腕を掴むと部屋を出た。その光景を見ていた伯爵は思った。
(まるで、昔の私たちを見ているようだな、エリー。)



マコは、女性の部屋だと思われる部屋に連れていかれた。そこの部屋は他の部屋と比べて質素な感じのつくりで、時間が止まっているようにも見えた。
「えーとここは?」
マコがダレンに聞くとダレンがすぐに答えた。
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